カガリはキラに動物園へ連れて来て貰っていた。 久しぶりに逢えた兄───キラに大はしゃぎのカガリ。 疲れて喉が乾いたと訴えるとベンチに座るよう促され、アイスを買ってきてあげるとキラが走って行った。 けれど、 ちっとも帰ってこない。 幼いカガリには、たったの5分がとても長く感じてしまう。 『ココから離れちゃダメだよ?』 そう言われていたけれど。 心細くて不安になったカガリは迎えに行こうと1人で歩き出す。 てとてと歩きながら辺りを見回すカガリ。 …見つからない。 振り返るも、今度は座っていたベンチの場所すらわからなくなってしまった。 「…おにぃちゃぁん…っく…ひっ…く…にぃちゃ…」 必死に唇を噛み締め、必死に瞳を瞬かせ零れそうになる涙を堪えるようスカートの端をギュッと掴む。 けれど、 誰も、知らない。 ココが、どこなのかもわからない。 …たった、ひとり… また、置いていかれてしまうの…? 「…にぃ…ちゃ…ぅっ… …うわぁぁぁん!!」 ついに、緊張の糸が切れてしまったカガリは大泣きを始めてしまう。 |