Private teacher...

□Lesson.2
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「この間の模試、本当に全部判らなかったなんて言わせないぞ」




部屋に招き入れ、机に向かうアスランに、カガリが後ろから声を掛ける。



「何故ですか?」



「まずは、この間の模試の問題用紙、出して」





淡々としたカガリの口調に、振り返ることもなくアスランは椅子に座ると、体は正面を向けたまま、例の問題用紙をカガリに差し出す。





拗ねている様子が幼い子供みたいだ、とカガリは内心思ったが、口論を避けるために押し黙った。






受け取ったそれを一通り目にしたカガリはまた一つ溜息を吐いた。




「ほら、やっぱり…。

2週間前に教えた所も出題されてるだろう?」




アスランに見せるように問題用紙を机の上に広げ、手で示すようにその箇所を指先でトントンと軽く叩く。




「…あの時は、ショックが大きくて勉強どころじゃありませんでした」




部屋に入ってから、カガリとは一度も視線を合わさないアスランは、嫌味っぽく告げると唇を噛み締める。






子供より、タチが悪いのかもしれないな…。






成績だけではなく、頭の回転も良過ぎる少年に苦笑し、心の中で「参りました」と呟く。






けれど、ずっとこんな調子では勉強どころではないし、居心地も悪い。





カガリはフローリングの床に両膝を付くと、アスランの顔を覗き込む。




「アスラン。急に辞めてしまうような真似をした事は、本当に済まなかったと思う。

でも、ずっとそんな態度を取られたままじゃ…。私が、何の為に戻ってきたのか判らないじゃないか…」



「でも、信頼を失うようなことをしたのは、先生じゃないですか…」



相手を刺激しないようにと、申し訳なさそうに言葉を紡いでゆくカガリにアスランは喰い付く。





漸く顔が向き合ったが、カガリに少し鋭い視線を投げ掛けるアスランの瞳は、冷たく光っているようだった。



「それは…そうだけど…」



では、何故自分に再度ご指名賜ったのか、と続けようと言葉を選んでいたカガリの耳に入ってきたのは、





生徒からの、とんでもない、お願い。



……もしくは、



───脅迫のような……言葉だった。











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