「ぱぱっ、ままぁ!!」 小さな女の子がパジャマのままで、リビングに駆けてくる。 肩下辺りまで伸びた髪の色は、父親譲りのディープブルー。 そして、右が父と同じエメラルド、左が母と同じメイプルブラウンの瞳が、朝の挨拶もなしに既に潤んでいた。 「アイリ、どうした?」 「…っく、…れおんが…」 娘のアイリがしゃくりあげながらそう告げると、ソファに腰を下ろしていた父───アスランは、急いで子供部屋に向かう。 母───カガリも、アイリの手を引き、その後を追う。 子供部屋には、ぐったりとベッドに横になる小さな男の子。 アスランはその小さな額に手を当てていた。 その髪は母親譲りのハニーブロンド。 瞳の色は、アイリと同じで左右違い、それぞれ両親の色を受け継いでいる。 「…ぱぱ…」 「レオン、熱があるみたいだな…今日は一日寝ていような…」 息子の頭を撫で、優しく言い聞かせるようにしても、表情が冴えないレオンに、アスランは首を傾げる。 「…?」 「きょう、うんどうかい…れおんも、たのしみにしてたのに…」 カガリの横にいる、アイリが小さく呟く。 アスランはつい先日、頑張るから絶対に見に来てと、子供たちにせがまれていたその時を思い出した。 痛い程気持ちは判るが親として、こんな状態の息子に幼稚園へ行き、まして運動会に出場させる訳にはいかない。 「ここで無理をしたら、もっと苦しくなって、苦いお薬と注射の為にまた病院の先生に来てもらう事になるかもしれないぞ…?レオンはそれでもいいのかな?」 薬も、注射も、子供が大嫌いで、怯える要素を卑怯だと思いながらも告げれば、レオンは唇を噛み締め首を左右に振る。 |