Short story

□君に、キスと花束を...。
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「おたんじょうびおめでとう!!」





マルキオ邸では子供たちの元気な声が響き渡った。




5月18日。
キラとカガリの誕生日にお祝いがしたいと言った子供たちが飾り付けた部屋で、主役の二人を真ん中に囲ってケーキの上のローソクに点いた火をふぅっと吹き消すと、一斉に拍手が起こる。
カガリには当然公務があった為、ここに訪れるのが随分遅くなり、始まりの時刻は21時を過ぎた頃だった。



きっと子供たちの手作りだろうそのケーキを切り分けていると、アスランが部屋から外へ出ようとしていることにカガリが気が付いた。



「アスラン?」

「車のキーを挿したままにしてしまったようだから、取ってくる」

「そうか、わかった」



部屋を出て行ったアスランも直ぐに戻り、賑やかなパーティが続いていたのだが、子供たちの通常の就寝時間はとっくに過ぎていて、うとうととし始める子供を前に、カガリとアスランは席を立つことに決めたのだった。





「じゃあ、今日は遅くまで済まなかったな」

「いいえ、カガリさんも明日早いのでしょう?お気を付けてくださいね。アスランも。」

「ああ。今日は本当にありがとう。みんなによろしく」

「うん、カガリもアスランも無理しないでね。おやすみ」



キラとラクスは通常、外まで見送ってくれるのだが、夜も遅く潮風が冷たいだろうと、アスランが今日は玄関まででいいと断ると、カガリもそれに同調してじゃあな、とその場で挨拶を済ませて扉を開いた。









駐車場に停めてある車の助手席側のドアに手を掛けようとしたカガリよりも素早くアスランがその手を掛けた。


「どうぞ」


公務の最中にアスランがエスコートの形で車のドアを開くことはあっても、プライベートではあまりそういったことはしなかった―――カガリがあまりいい顔をしないので―――さり気無く素早い動作でドア開かれて、カガリは特に気に留めた様子も無くありがとう、とシートに腰掛けようとした。






―――その瞬間、映ったものにカガリは瞳を大きく瞠った。










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