「カガリ先生、出来ました」 「ん、どれどれ……」 カガリは立ち上がって、声を掛けてきた相手の座る椅子の背凭れに片手を添えると、同じ位置に顔を寄せて、覗き込むようにノートを見る。 「…正解、だな。 …本当にさ、アスランは家庭教師なんか要らないんじゃないのか?」 自分がテキストから抜粋して出す公式の解答を、無駄なくまとめてきちんとノートに書き出す生徒に、またか、と思いながら感心したように溜め息を吐く。 「それは、親に言ってください」 その溜息に、机に向かっていたアスランは、カガリの方を向くと肩を竦めて小さく笑って見せる。 きっと彼も、 家庭教師が付くのは、不本意なのだ。 Lesson.1 「Feel...」 「よしっ、一息入れよう!」 カガリはそう言うと、自分のバックから、ビニール袋を取り出し、部屋の床に座る。 「何ですか、それ?」 ガサガサと袋の中を探るカガリに、アスランが声を掛けた。 「何って…おやつだよ。ほら、アスランもこっちに座って!」 当然の事のように答えたカガリに手招きされ、アスランは首を傾げながらも隣に座る。 |