ギアス文

□偽りだと
2ページ/4ページ



 乗るしかないのか…フレイアの積まれたランスロットに
 フレイアを、ルルーシュに…




「…それでルルーシュを殺すのか?」

 ランスロットの前に立つスザクに、不意に背後から声がかけられる。

 一瞬前には確かに存在しなかった気配に驚いて振り向くと、暗がりに人影が見えた。

「誰だ」

 低く恫喝するように問うと、人影はかすかに嗤ったようだった。

「ユーフェミアを殺されたから? あいつがゼロだから?
 …いや、違うな。命令されたから、だろう? お前はそういう人間だ」

 人影はスザクの問いには答えず、ただ嘲りを含んだ声で謡うように言った。

「…誰だと、聞いている」

「命令されたことを実行しただけだと、そう思う事が出来れば罪の意識にも苛まれずにすむからか? 幼稚な責任転嫁だな」

「――っ! 違う!!」

 人影が、コツリ、と一歩前へと踏み出した。

「違う? 何が違う? 『自らは影に隠れ、責任は全て他者に擦り付ける。傲慢にして卑劣。それがお前の本質だ』」

 コツリ、

「―――!!」

 コツリ。

「…お前には似合いの言葉だろう?」

 暗がりから現れたのは、見覚えのある一人の少女。

 長い緑の髪を揺らして、金の瞳の魔女は艶然と嗤った。

「違う違う違う違う違う!!! 僕はっ……俺は……!!」


「一体何所が違うと言うんだ?

…お前が一番よく分かっているだろう?」


 コツリ、と、少女は止めていた歩みを再開させた。

「俺は…」

「ゼロよりも、ルルーシュよりも」

 コツリ、

「…やめろ」

 コツ…


「自分の行いを正義だと信じている分だけ、お前の方がよほど性質が悪いと」


「やめろぉおぉぉおぉおお!!!」







.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ