ギアス文

□その想いの名は
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 ルルーシュが銃撃にあう寸前で、なんとか蜃気楼を騎士団とルルーシュの間に割り込ませる。

「大丈夫!? 兄さん!!」

「――ロロ!?」

「兄さんは僕が守るから!」
 ロロの右目が赤く輝く。


 包囲を掻い潜り、斑鳩の艦外へと飛び出す。

「やめろロロ! もういいんだ!!」




「ロロ、もう俺には、生きる理由なんて…!」

 蜃気楼の腕の中で、兄さんが叫んでいる。泣きそうな声で。でも…

「殺させない、絶対に」

 たとえ兄さんが、それを望んでいたのだとしても。


「こんな広範囲でギアスを…やめるんだ。これ以上はお前の心臓が持たない」

 コクピットハッチを開き、兄さんをコクピット内部に入れる。僕の横の僅かな段差に腰掛ながら、兄さんは尚も僕を止めようとした。

「もういいんだロロ。俺はもう…」

「だめだよ兄さん。だって…」

 だって、僕には兄さんしかいないんだ。たとえ兄さんが僕の事を駒としか思っていなくても。
 死なせたく無い。僕にとって一番大事な、唯一無二の存在。それにね…



『やめるんだロロ! 俺なんかのために…! 俺はお前のことを利用していたんだぞ!!』


 切れ切れに聞こえる、兄さんの声。心配そうな、今にも泣き出してしまいそうな声。
 どうしてそんな辛そうな顔をするの? 僕の事なんて大嫌いだったんじゃないの…?



 ………ああ…やっぱり兄さんは嘘つきだね…





「やめてくれ! ギアスを使うな!! 死にたいのか!?」

 だめだよ。いくら兄さんの頼みでもそれだけは聞けない。嘘つきな兄さんの頼みなんて、もう聞いてあげない。

 だって…

「僕は、道具じゃない……これは、僕の、意思なんだからぁ…!!」










「ロロ…どうして俺を助けた…? 俺はお前を…」

 何とか追手を振り切り、森の中に隠れることに成功した。けれど…僕はもう、もたないみたいだ。胸が痛くて、息が苦しい。視界も黒ずんできた。

「兄さんは、嘘吐きだから…」

「え?」

「うそ…だよね? 僕を、殺そうとしたなんて……僕が、嫌い、なんて…」

「そうか、すっかり見抜かれてるな…流石は俺の弟だな」

「そう…だよ。…ぼくは…にいさんのことなら…なんでも、わかる……」


 ああ、もう、本当に…声が、出ない。力が入らない。まだ、兄さんに、伝えなきゃいけない事があるのに…伝えたい事がある…のに……





その想いの名は






 ごめんなさい。

『僕だけは兄さんと一緒にいる』って、約束したのに…守れなくて…


 それから、ありがとう。

 こんな僕を、愛してくれて。
 たくさんの感情をくれて。

 兄さん。

 兄さん。



 ……大好きだよ。







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