*One Life*

□第一章
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所は私立英響中学校職員室。


金髪の外国人が1人室内で浮いていた。
彼の目の前に座っているのは20代後半の女性で、担任になり立ての新米教師だ。

「連日お呼びして申し訳ありません。また飛鳥君の事で…今日も学校をお休みしたので…」
「電話で体調不良とお伝えしたはずですが?」
外国人の青年は流暢な日本語で答える。
「はい。そのように聞きました。ですがその理由でもう一週間ほど休んでいるので心配になりまして。」

一呼吸入れてから女教師は言った。

「不登校の気があるような気がしまして…」

言い終わって女教師は青年の顔を見た。
青年の方は少し困ったような、また、悲しい顔をしている。
「それは絶対にありません。確かに血縁でもない私が保護者として学校に来たりするのだから、家庭環境などの心配をされるのは分かります。しかし不登校なんて事にはなりませんので、どうか先生も坊ちゃまの事、信じてあげてください」
青年ははっきりと女教師の目を見て言った。
「わかりました」
女教師も少し緊張が緩んで微笑んだ。


「ふー…」
職員室を出た青年は長いため息をついた。
廊下を歩く生徒は彼を好奇の目で見たり、頬を染めてこそこそ喋ったりしている。
そんな事に全く気付いていない青年は、自分を待つ少年の乗った車に向かって歩き出した。
時間は17時といえど、もう6月半ば。少し心配だ。
青年は歩くスピードを早め、校舎を後にした。
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