コナン長編
□車線変更Act.3 自壊―ジカイ―
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“幼馴染み”という名の『特別席』から脱出したいと願っていたのは
自分だけだったのだと目の前で見せつけられてしまった………
大きく深呼吸をして洗面所を後にする
「上がって、上がって。今 お茶煎れるから」
「?お母ちゃん、お客さん?」
母親に案内されてリビングに入ってきたのは……
「よぉ、和葉 元気にしとったか〜?」
その後方から「お邪魔します」と姿を現したのは紛れもなく工藤新一だった
「平次‥と、工藤くん………――─!!?)」
「あら、和葉も知っとる子ぉなん?」
「僕の幼馴染みが遠山さんと仲良くして貰ってるんですよ」
「ひょっとして“蘭ちゃん”の事?毛利の?」
「そうです。」
「そうやったの〜?んまあ〜!兎に角座って座って。そうや!とっておきの紅茶が有るんよ〜、インド旅行に行った友達から貰たんやけど…珈琲の方がええかしら?」
平次と新一が客間に並んで座る
「……お母ちゃん、相手しとったら?アタシがお茶準備してくるわ」
と3人を残して台所へ向かう
「暫く見ぃへん間に平次くん背ぇ伸びたんやない?」
「あ〜、…どうりでジーンズの丈が最近短い気ィがした訳や」
「お前自分で気付かなかったのかよ?」
呆れ顔の新一
「オレが気付かんかったいう事は工藤も伸びたっちゅー事やろ。ま、オレの方が高いけどなっ」
「俺?最近計ってねぇけど、ハタチでそれはねーだろ」
「何でや、まだ伸びる可能性あんで?」
やいのやいのと話す平次と新一に
「クスクス…仲いいんやねぇ、2人共。大阪と東京やのにどうやって知り合ったの?」
「蘭の父親の探偵事務所に服部が俺を訪ねて来たんですよ。それからの付き合いです」
「そうなんね〜。和葉がよぉ零しとったわ『また平次が東京の女に会いに行った!』て。女や無かったんやねぇ〜」
和葉は紅茶のソーサーに湯を注いでいた手を止めた
そうや…、
あの時
“東京行く”て言ぅた平次を引き止めてたら
きっとこの2人が会う事も無かってん…………