コナン長編

□車線変更Act.3 自壊―ジカイ―
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「チチ…チュンチュン……」


鳥のさえずりと母親が勢い良く開けたカーテンからの光が眩しくて和葉は布団で顔を被った


「いつまで寝とるの、晩ご飯も食べんと。もう10時やで?
……あら、何やの和葉 昨日平次くんとこ行かんかったん?」



部屋の隅に置き去りにされた栗きんとんの紙袋を見て指摘される



「――――ん、うん‥時間無かってん……」

「そうやの?じゃあ今日持ってってあげたら?平次くんまだこっちに居てるんやろ?」

「知らん。いつまでおるか聞いとらんもん…。お母ちゃん今日パート休みやろ?行ってきてぇな」


「そうやけど。…アンタ平次くんに会わんでエエの?喧嘩でもしたん?」

「……………」



顔も出さずにいる和葉の様子に

「そんなら、そうしよか…。食パン有るさかい気が向いたら降りておいで」

「……うん…」

「ピンポーン……」

「あら、は────い!」



早足で母は階段を降りていった

「そうやけど。…アンタ平次くんに会わんでエエの?喧嘩でもしたん?」

「……………」



顔も出さずにいる和葉の様子に

「そんなら、そうしよか…。食パン有るさかい気が向いたら降りておいで」

「……うん…」

「ピンポーン……」

「あら、は────い!」



早足で母は階段を降りていった





和葉は腫れた顔を見られずに済んだ事に取り敢えず安堵して洗面所へ急いだ
お湯で温めたタオルで瞼を押さえて3分間……

たったそれだけで充血していた瞳も治っていく…




でも…鏡の前に立っている傷ついた自分の心は元には戻らない


「……見間違いかもしれへんやん…」


ポツリと零したものの次々と場面が蘇る




上着を脱ぎ捨てて勝ち誇った様に微笑む平次と

ダルそうにしていた新一が腕を伸ばす

軽く交わしていたキスが段々深くなり…音を奏で始める




『あんなキス…してない』




少し乱暴に新一の服を脱がせては床に投げ捨て
 
 
名前を呼ぶ




『あないな声で…
   呼ばれた事無い』




新一のカラダにキスの雨を降らせる





『あないな風に
 触れられたことない』





彼等はお互いのことを名字で呼び合っていた




…だが、違った………





名前を呼ぶのは2人きりの時だけなのだろう



容疑者の前で嘘やハッタリを利かせて謎解きをしている彼等は
他人の前でミスを犯すことはしない........
 
 
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