コナン長編

□車線変更Act.3 自壊―ジカイ―
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ゆっくりとベッドに降ろすと平次は和葉の顔を覗き込んだ


「ホンマに大丈夫なんか?病院行かんでも?」

「‥うん、平気。昨日あんまり寝てないからだと思うし」

「………さよか」

「?…どないしたん、キョロキョロして?」

「ん〜、お前の部屋久し振りやな思て。……あんま変わってないな」

「そう?……」




  違うよ、平次




「本棚の場所が変わったんと、ぬいぐるみが減った位やな」




一番肝心な事忘れとる…


平次は
いつも突然来てたから
アタシは机の上の写真立てを引き出しに隠してた


そしたら


『何隠してんねん、見せぇや』

『イヤや』

『ええから見せろ』

『プライバシーの侵害や!』


の押し問答になっては毎回喧嘩になった






そのやり取りも、
写真立てが消えとる事にも気付かんのやね…平次………




「……平次、工藤くん…待っとるよ」

「せやった!ほな来ィつけろや和葉」

「うん、おおきに」

「あ、そうや…。
和葉、お前もう少し飯食ぅた方がエエぞ。せやないと……育つモンも育たへんでー」

「どーゆう意味っっ?!」


あっはっは、と笑いながら階段を降りていく平次の声が段々遠退く




風でなびくカーテンをベッドに横たわったまま
ぼんやりと見つめて和葉はさっきの出来事を思い出す




平次とは何とか目ぇ合わせられたし普通に出来たと思うけど………


客間で倒れそうになったあの時、
伸ばしてきた工藤くんの手ぇを……払ってしもた



ホンマは貧血やのぅて…

吐き気が、した


平次と抱き合ってるあの手に触れられたくなかった


2人が並んで親しげに話しとるとこを正視する事も出来ひんかった………




本当に平次が好きなら関係ないって胸張れてたんやろか?


アタシ、ホンマは平次の事大して好きやなかったんと違う?




せやけど


涙はボロボロボロボロ流れてきて



体はガタガタガタガタ震えて



胸はドクドクドクドク打ちつけて




立ってられへんねん…………
 
 
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