コナン短編

□黒猫しか知らない。
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「帰って来たら まず飯だよな…」


ドレッシングを作成し、茹でたアスパラを皿に盛り、キュウリを切ろうとして手を止める


アイツ…
瓜系 大丈夫だったっけ?


よくよく考えてみたら
今までそんな事 気にしたことが無かった
食事はわりと一緒にしていたが、服部の好物や苦手な物を俺は知らない


「………………。」

あの頃の
自分の余裕の無さに気付く

普通そういうトコは見逃さねーよな?
ましてアイツの事なのに………


「にゃあぁ〜ん」

「ん?何だ、腹減ったのか?もう少し待て服部が買ってきてくれっから」

だが食欲旺盛な子猫に我慢出来るはずもなく、
棚に置いた卵入りのボウルを取ろうとした新一の足元に力強くすり寄る

「オイ、止めろって、あ!」

「がしゃあ〜〜んっ!……くわん、くわん‥くわ〜〜ン……」

ポタポタと髪から溶き卵が床に落ちていく……

「…………ぐわしっ!」

「ウニャ?…ウニ゛ャ〜〜〜!?」












「ガチャッ!ぽいっ。」

風呂場に放り込まれた猫がキョドっている間に新一はお湯張りボタンを押して、素速く自身の髪を洗った


「次はお前の番!」

「ニャ?……!」

シャワーで全身を濡らしてシャンプーを泡立てるが

「オメェおとなしいな?」

猫は水が苦手な動物だと聞くが、例外もいるんだと関心する


「耳、水入ってねーか?」

小さく見えるが子猫のうちは顔より耳が比較的大きいのが特徴だ

「…………ぜ」

「ニャ?」

「☆……猫なら聞こえるんだな…。はぁ〜」


あの日
耳元で重くならない様にサラッと言った台詞に
返事は無かった

『おかしいな?』

と顔を覗き込もうとしたら“キス”された


アメリカ人は挨拶代わりにするけど
アイツは生粋の日本人
そんな洒落た事が出来るとは思えねー


だったら、
何だよ……??
言葉の代わりに態度で示したとか………?
アイツに限ってあり得ねー!
言葉の代わりに行動で示す………?
じゃあ、
その行動の意味は??

「ばシャッ!」

「フギャ!」

誤って顔にお湯を掛けてしまった猫はぷるぷると左右に首を振り、
急に暴れ出した


「もう少し我慢しろって!」

「に゛ゃああっ!」



「ガチャッ。」

「ほら、暴れるなっ。もうしないから……っ、アレ?服部?」

ビショ濡れの猫の首根っこを持ち、足拭きに乗せると服部が立っていた


何か態度がよそよそしい………

この前のキスの影響か?
でもしてきたのはオメェだろ?
 
 
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