コナン長編
□車線変更Act.3 自壊―ジカイ―
2ページ/40ページ
車線変更 Act.3
自壊ージカイー
季節は春.......
桜が舞う大型連休GW前半、リポーターが高速道路S.Aの脇で渋滞状況を報告している
高校卒業後、遠山和葉は保育士を目指して地元の4年制大学へ進学した
推薦入学が早々に決まっていた自分と違い
服部平次は後期センター試験の真っ最中で仮卒中も忙しく、やっと会えると思ったのも束の間
合格発表の日と同時に荷物少なに《アパート探し》に東京へ行ってしまった
大胆なのは合格すると踏んで必要最低限の物は既に段ボールに纏めていて、住居が決まり次第実家から配送する手配までちゃっかり済ませていたので卒業式当日の打ち上げにも参加しなかった平次とは挨拶もそこそこに離れ離れになった
それ以来、平次は大阪へ帰らなかったので軽く2年ぶりの再会だ
一足先に二十歳になった平次に和葉は胸を高鳴らせ、ナチュラルメイクを施して自室から出た
「ガチャッ」
「あれ、お父ちゃん帰ってたん?」
「おう、和葉おはよう。」
大阪府警で刑事部長をしている父親が朝刊から目を放して娘に挨拶すると台所から母親が急須と湯呑みをお盆に乗せて居間へ入ってくる
「さっきアンタが顔洗って上行って直ぐに帰ったんよ。朝ご飯は?」
「あ、後で自分でするからええよ」
「岐阜県警に容疑者引き渡して朝イチで帰ったんや。そうや、和葉土産があるぞ」
「珍しい!何、何っっ!?」
渡された紙袋から箱を取り出す
「わあっ!!“栗きん”やん!メッチャ久し振りやあっ!…良○堂やのぅて、○杵堂ゆーんが微妙なとこやけど」
「まあ、そう言うなや」
娘のツッコミに苦笑い
「そうやで、和葉。
お父ちゃんわざわざ新幹線乗り換えて買って来てくれたんに」
「そうなん?」
「岐阜通り掛かったら、中津川まで足伸ばさな勿体ないやろ。今月一杯でまたシーズンオフになるさかいなぁ」
「おおきに、お父ちゃんっ。」
可愛い1人娘の為なら苦労もいとわないのが父親だ
「今日はどこか出掛けるの?」
「んー、ちょっと遊びに行こうかな〜…て。平次んとこ」
「それやったら平蔵ん家に寄って渡してきてくれ。あそこの坊主も好物やったやろ」
もう一つの箱を指差してお見通しと言わんばかりにニヤリと笑う
「き、今日はたまたま寝屋川に用が有るから仕方無く行くんやで。そんなん持って行ったらアイツあたしが準備して待っとったと思うやん」
「平次くん帰っとるの?あらー、高校出てから初めてやない?」
「…うん、卒業式以来…」
「平次くん背も伸びたやろーね〜。益々イケメンになったんやない?」
「平次がイケメンやったらその辺歩いとる男は全員芸能人やで」
赤い顔を誤魔化す様に台所に足早に行くと味噌汁の入った鍋を覗き込んで火をつけた........