*ケロロ軍曹

□プレゼント
1ページ/2ページ





〜プレゼント〜






世間を賑やかすクリスマス

今年もやってきたな、とちらつく雪を眺め上着を着て焚火をするギロロ


ふと振り返り日向家の窓の内を観れば夏美も冬樹もケロロもタママも楽しそうにパーティーをしているのが観える



仲良く楽しくコミュニケーションを取るのに意義はない


しかし侵略する側と侵略される側なのだからそれなりの距離を保つのが普通ではないのだろうか


自分の考えが古いのだろうか…?



今からでも間に合うだろうか?


いきなりサンタの格好をして

「メリークリスマス!!」

と叫びながら入ってきたら一躍ヒーローだ


なんて考えてはいないがあの輪の中には入りたい

口に出して言いたくないが



寂しいのだ…




どれだけ上着を重ねても
どれだけ焚火の火を強くしても
人から人に伝わる温もりに勝るものはないと信じている

だからこそ寂しさが募る



カラカラッ…



窓が開く音がした

夏美か…?
ケロロか…?


予想は大きく外れて黄色の眼鏡がいた

顔に出てしまい眉間にシワを寄せる


クルルもギロロの顔に眉間にシワを寄せ片手にケーキの乗った皿を持ちながら少し積もった雪の上に降りた



「ちゃんと窓を閉めろ」

「……」



無言で渡されたのはカレーonケーキ…

ケーキの上にカレーがかかっている


全く食べる気がしないのでいらないと目で言うと黙って皿を持ち帰ってく



(何がしたかったんだ?)


しばらくしたらまた窓が開いた

振り向けばまた黄色の眼鏡がいた



今度はどんな嫌がらせをするんだ?

期待でも不安でもない気持ちになる


またギロロに近寄る

片手には何も乗ってない普通のケーキ


何かの罠だろう、と疑いながらケーキを一口サイズにフォークで切った

すると中から…



「…くっ」


クオリティは高いが必要性が全くない嫌がらせにため息が漏れる

また食べる気がしないのでいらないと目で言うと大人しく戻ってく



(俺をおちょくっとんのか?)


小腹が空いたので芋を焼く

食べる気がしなかったのは珍妙なケーキだからであって…



カラカラッ…



またか、と想い今度は振り返らない


すると手ぶらでギロロの横に座る

結構な近距離だ


反対側にズレようにも一人用のブロックだから二人も座れない

仕方がないのでもう一つブロックを用意する


するとクルルは焚火を観ながら弱々しく

「くぅ…」

と鳴いた。(と言えばいいのだろうか?)




クルルが少し寂しそうに観えた

ギロロ自身も寂しいからそう観えたのかは定かではないがうなだれて観える



だから小さい声で言ってやった





「メリィ…クリスマス…」





クルルがギロロの顔を見遣る

嬉しいのか星空を観上げて独特の笑い声を上げている


何だか心が温かくなって微笑む



するとクルルからリボンの付いた箱を差し出した

プレゼントなのだろう


目で開けていいか聞くと少し頷いたので開けてみた















「…くっ」






やはり食べる気がしないのでいらないと目で言った


クルルは美味しそうに頬張った




結局クルルと一晩中一緒にいた








〜Fin〜




後書き→
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ