*ケロロ軍曹

□いたずらに
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〜いたずらに〜



いつものように前触れもなくクルルに呼び出され、ギロロはラボの前にいる

ラボの外見を嫌そ〜な目で見ながら中に入るのを躊躇っている


「悪い予感しか、しない…」


いつまでもここで突っ立ってるわけにはいかないので、意を決してベルを鳴らす


『入りな』


スピーカーから声がして、ドアが開く


戸惑いながら中に入ると甘ったるい匂いがした

換気をしないためか蒸し暑くて甘いため立ちくらみしそうなギロロ

進んでいくと青白く光るモニターの壁が見えてきた

しかし、手前のイスにクルルがいない


「まったく…、呼び出しといて本人が居ないとはどういうことだっ」


馬鹿にしてるのかと愚痴をこぼし、辺りを見回す

名前を呼んでも出て来ないので時間の無駄だと判断した

踵を返しモニターを背を向けた

すると…


「セ〜ンパイ」

「ギゃあアぁーー!!?」

「…何驚いてるんすか」

「い、いきなり暗闇から出てきて足を掴まれたら誰でも驚くわバカモンッ!!」


涙目になって怒鳴るが、クルルは反省の色もなく笑ってる


「ク〜クックッ、だってセンパイが帰ろうとすんだも〜ん」

「すんだも〜ん、じゃない!声だけでいいだろ声だけでっ!呼び止める手段が足掴むとは邪道だあ!!」

「ヘイヘイ、俺が悪ぅござんした〜」

「き…さ…ま…反省がなっとらんっ!」


こいつと話してたらキリがない、の模範解答のような二人

本気でぶつかってんのに、相手は口笛吹いて真剣に聞いてないという時間が流れていく


「ハァ…ハァ…」

「センパイ、怒鳴りすぎ」

「だ…誰のせいだっ…」

「ほら、声枯れてるし。ん」


不意に腕を掴まれ、ラボの奥へと連れていかれる

進むにつれて甘い匂いがますます強くなっていくのが分かった

すると目の前にバスタブが

クルルの手が離れ近くの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り、ギロロに渡す


「す、まない…」

「んにゃ」


ミネラルウォーターを飲みながらバスタブの異変に気付き中を覗いた

そこには


「のわっ!」

「クッ」


覗こうとしてたギロロはバスタブの中に落とされてしまった


「ぷはっ!あ、甘い!?チョコレートかこれは!?」


いつもはカレーが入っている

だが今までの匂いと口の中に入った甘味でカレーではないことをチョコレートにまみれながら理解した


「ク〜クックッ、ご名〜答〜」


ジャポーンッ

「あうっ!」


チョコレートで目が開けれず手で除けているとクルルがダイブしてきた


「バカモノッ!食べ物で遊ぶなとあれほど言っただろうがっ!」

「遊んでんじゃねぇぜ〜。今から食べるんだからよ〜」


まだ視界が悪い状態でチョコまみれの腕を掴まれた


「いっただっきま〜す」


ぱくっ


「ほわっ!?」

「ん〜、やっぱ美味いぜぇ〜」


指をペチャクチャと舐められ抵抗すれども、身動きが出来ず体を押そうとしてもチョコでぬめる

頭で嫌だと想っていても、体にまとわり付く感覚とクルルの舌の刺激に気持ち良さを見出だしてしまった


「センパイも食べようぜ〜」


口に入ってきたのは多分クルルの指

さっきまでなら噛み付いてやりたいくらいだが力が入らず悔しいかな舐めることしかできない


「ん〜、センパ〜イ」


文字通りガバッと抱き着いてきてぬめる肌と肌を擦り合わせる


「やめ、ろ…クルル…」

「センパイ、食べ物でヨくなるなんて。俺にとやかく言えねぇじゃん」


片方の口角を上げギロロの首を貪る


「はっ…ぁ…」




二人のバレンタインは始まったばかり




〜Fin〜



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