本棚

□皺
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私は、一体何をしているのか…


グウェンダルは眉間皺をより一層深くしながら黙々と編み物していた。
考えれば考えるほど、悩めば悩むほど、比例して眉間の皺は深くなる一方だ。
それにしたがって、自然と編み物をする手も、スピードアップしつつある。


そもそもの原因は、現眞魔国魔王渋谷有利だ。
奴は、何だかんだと理由をつけては全ての職務をグウェンダルに押しつる。


只でさえ、自らの治める領地の事で忙しいというのに、今の現状はどうだ?
一国を任せられているも同然じゃないか。

領地と一国の差は、とてつもなく大きい。



「はぁ…」



大きなため息を一つ吐き、グウェンダルは新米魔王の顔を思い出して「ちっ」と舌打ちをした。


何だかんだいっても、あの大きな瞳に見つめられたら、全て許してしまう自分がいるのだ。



「はぁ…」



今日も、グウェンダル閣下の眉間には深い深い皺が刻まれていた。

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