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□小さな幸せ
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不思議な事は、続くものですねぇ。まったく。
長生きするのも悪くないのかもしれない。
上司に恵まれている俺は、幸せ者だと思う。
感謝仕切れないくらいです。本格良い上官だ。
―そんな事を、直轄の上司にぽろりと言ったら、相当渋い顔をされた。
自分に対して言われたであろう俺の言葉に、複雑な心境のようだ。
別に変な意味ではなかったのに…ちょっとショック。
そんな気持ちが、顔にでたのだろうか。上司は何度かわざとらしく咳払いをし、眉間の皺をさらに深くしながらこう言った。
お前もなかなか使える部下だぞ。
と。
照れてるのだろうか、書類を書くスピードが上がった。
それを見て、俺は頬を緩ませる。
これだから、この人の部下で良かったと思ってしまう。
…まったく俺は、本当に上司に恵まれてる。
この国の最高権力者もどうだ。
始めは、ついキツく当たってしまった。今でも後悔している。
だってそうだろ?
最高の上司は、一人だけだ。もう、最高これ以上いるはずがない…。
だが違った。あの御方も、素晴らしい。
こんな下っ端の俺にでさえ、友達のように接して下さる。
この国の為になら、いつ命を捨てても良い。と言ったら、本家で怒ってくださるんだ。
一端の兵士に、本気で怒る王がいるか?…いないだろう?
生涯で、二人もの上司に恵まれるなんて
幸せもんです。俺は…。