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□こころのうらがわ:後
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長い長い時のはて。

例え傷つけあったとしても

いつか一緒に幸せな世界で過ごせると

信じていたいのです。


【こころのうらがわ 後編】


固く閉ざされた扉。
規則的にノックの音を響かせてもいっこうに開く気配のないそれの前に、
困った表情を浮かべた少女、リナリーが立っていた。

いつものように、一緒に朝食に行こうとして、彼女の部屋に来たまでは良い。
だが、どれほど待ってもアレンが出てこないのだ。
礼儀正しく、時間もちゃんと守るアレンが、此処まで人を待たせるはずもなく、
もしかしたら何か風邪でもひいて出られないのではないかと、
リナリーは心配になってアレンを呼んでいた。
それでも、全く反応のないアレン。

「アレン君?どうしたの、居るんだったら返事して?」

それでも、返事はない。

いくら呼んでも出てこないアレンのことが、そろそろ本気で心配になってきたリナリーに、
通りすがりのラビが声を掛けた。

「あっれリナリー、どうしたん?朝食おわっちまうぞー。」
「ラビ!ねえどうしよう、アレン君が部屋から出てこないの!何か具合でも悪いのかなって、心配なのよ…。」
「鍵は?」
「掛かってなかったら、今もうとっくに入ってアレン君の様子見てるわ…。」

本当に心配なのだろう、眉間にしわを深く寄せ、うつむいて黙り込む。
普段リナリーは、アレンを本当の妹のようにかわいがっていた。
それならば、コレは仕方ないかも知れない。
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