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□足枷、そして終わりの鐘 第四話
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死に急ぐような訳ではない
ただ 僕は自分のために 走る
世界や貴方を救うこともしたいけれど
僕は今、自分のために 走っている。
だから、どうかお願い
僕を 呼び止めないで。
【足枷、そして終わりの鐘】
第四話ー硬く儚き覚悟ー
汽車が止まる。空は黒インクを零したように真っ暗だ。
その中でも、星は精一杯の力で瞬いている。
例えそれが過去の輝きだとしても。
下車する際に、神田は僕に手を差し伸べてくれた。
普段見せない彼の優しい態度に、僕は笑う。
笑えた、と思う。
本当は、この手を取ってしまったら僕の決意が揺るいでしまうような、気がした。
それでも握りかえしたのは、神田の子供のような体温を、最後まで感じていたいからだった。