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□プロロゴス・エクソドス
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「いいから聞いてくださいよ、はいはい、中入りますよ」
「ふざけんな帰れ!」
「おじゃましまーす」

彼の静止の声も耳を通り抜けて部屋に入れば、そこはずいぶんと殺風景な部屋だった。
引っ越しして物は少なくなったのだろうけど、この分だと引っ越し前の部屋さえとんでもなく真っ白けっけな気がする。
これはもしかしたら、彼優先で何かあげた方がいいかもしれない、なんて思うほど、ずいぶん寂しい空間だった。

「椅子すらもないんですか、君の部屋は」
「他人なんぞ入れねえからな」
「あれ、僕は入ってますよ」
「自分で入ってきたんだろ。もう忘れたのかよ、このバカモヤシ」

全く本題に入れないのはいつものこと、彼に対してはいつもの僕の紳士面ははがれ落ちて、なぜだか口げんか殴り合いになっていく。
しかしそれになってしまってはらちがあかないし、わざわざ出向いた意味もないから、僕はここでぐっと我慢して、彼に話題を切り出した。

「あのですね、神田はなにかほしいものありますか」
「…てめえからの貢ぎモンなんぞいらん」

なにがはいってるかわからん。

神田はずいぶんな顔をして、ずいぶんな台詞を返してきた。
ショックではありません。想定内ですから。

「大丈夫ですよ、参考にするだけで君にはあげませんから。あげたところで反応は目に見えてますし」
「じゃあ何で俺に聞くんだよ」
「聞くのは、君じゃないとだめなの」
「・・・・そうかよ」
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