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□プロロゴス・エクソドス
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幾千もの夜を超え、幾万の朝を迎え、そしてふたたび黄昏を迎えても、僕は、


【プロロゴス・エクソドス】


自分の生まれを嘆くつもりはない。
そして育ちも嘆くつもりもなければ、この現状も、苦にするつもりはない。
また、これが歩むべき道なのだから仕方ないと、あきらめて投げ捨てるつもりも、毛頭ない。
ただひとつ、あの優しい人々を苦しめるという事実だけが、僕にとっての今の不安材料だ。

たとえば、遺言の一つでも残せば彼らの悲しみを半減できるのだろうか。
いやきっとだめだろうな、きっともっと哀しくさせてしまうかもしれない。
もしくは、こんな存在を思い出すための、嫌な道具の一つになってしまうかもしれない。
もっといえば、僕が師匠のティムの伝言を聞いたときみたいに、ひたすらいらいらさせてしまうかも。
たとえば、あいつ。
ずっとずっと馬の合わない、あいつ。
名前を言うのもおっくうだ、でも言わないとわかんないからいってしまう、神田ユウ。

女の僕に無遠慮で刀突きつけて斬りつけて、果ては殴って蹴っていつでも乱闘の大げんかをけしかけてくる。
こっちだって痛覚はあるんだぞ、寄生型で臨界者で大食いで、ノア、だけど痛いんだからな。
女を捨てたわけでもなし、男っぽいけど一応気にもするんだ。
そうは思っても、そのふっかけられるけんかにほいほい乗ってしまうんだから、僕だってきっと悪いのだ。
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