それから、あたしは宛もなくふらふらと街を歩いていた。
誰もいない 崩壊都市。
憎いぐらいの青空には、雲一つなくて、あたしは空に浮かぶ孤独な太陽になった気分だった。
「嘘・・・何もかも、嘘よ。夢よ。」
そうであってくれと、願いながら、一歩一歩、何を目指すわけでもなく歩き続ける。
あたしは何を目指して歩くのだろうか。
歩き続けて、果てはあるのだろうか。
果てはあっても、何をするんだろうか。
「もう、誰もいないのに・・」
照り付ける太陽は、あたしに何もくれはしない。
お互い孤独なモノ同士、傷の舐め合いでもすればいいのに、
遠すぎて声をかけることさえできないのね。
フラフラ、ふらふら、あたしは歩き続ける。
歩いて、歩いて、ふと足を止めた。
「あ・・・れ?」
まっすぐ歩き続けていたはずなのに、たどり着いた先は、あたしの家だった。
瓦礫の山になってしまった、懐かしい家。
もう、元には戻ってくれないのだろうか。
「お母さん・・・お父さん、先生、先輩・・・芭唐・」
あたしも、消えてしまいたいよ。
そう願って、あたしは瓦礫に倒れ込んだ。
皮膚を擦って傷が出来たみたいだけど、気にならない。
焼けたコンクリートが熱かった。
そっと目をつむる。
帰りたいよ、芭唐。
つぅ っと、一筋の涙が流れた。
それはポタリと地面に落ちて、あたしの意識は途切れていった。
* * *
痛みに気付けば、真っ暗闇。
嗚呼 あたしは消えたの?
嬉しさのあまり、涙が出そうになった。
けれども此処は真っ暗で、やっぱり一人で、此処はどこ?
「・・・ぉーぃ!!」
暗闇の中から、懐かしい声がした。
廻ル ワタシノ 崩壊都市‐ナイトメア‐
崩壊都市‐Fin‐