反逆連載2(r2編)凍結

□エデン〜僕らの理想郷〜
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あの大平洋上の戦艦の庭園内の時、ナナリーは言った。


『私は自ら望んだのです。エリア11の総督になることを』


彼女の言葉は彼にとって、予想外だった。


『貴女が…望んだ?』


『はい…。世界はもっと優しく平和に変えていけると思うんです。貴方も仰るように、今のブリタニアのやり方はおかしい。私もそう思います。でも…だからこそ、私はもっと優しい方法を探したい。――――あのユフィ姉様がそうしたように』

『っ!』


『私は―――』



初めて何かを決心したような、凛とした表情をナナリーが浮かべた。こんな硬い表情など、ルルーシュは見たことがなかった。


『ユフィ姉様の遺志を継ぎ、行政特区・日本を』

『…まさか、復活させると?』


『ゼロ、貴方もそこに参加してくれませんか?』

『うっ…』


手を差し出すナナリーの姿がユーフェミアと重なる。


ただのユフィなら…一緒にやってくれる?


天真爛漫な腹違いの妹ユーフェミア。この手で、殺してしまった。


『きっと、やり直せると思うのです。人は』



ルルーシュの心を壊すには十分な仕打ちといえよう。彼はもしかしたらゼロの仮面を棄ててしまうのではないだろうか?それもまた一つの結果としていいのかもしれない。と、サラは考えた。このまま何事もなかったように、ただの一ブリタニア人として暮らせばいい。ナナリーに会うことは叶わないがそれでも、彼女が無事なら何よりだ。敵ではあるが、スザクという強い騎士が彼女を守護してくれる。



だから、それでも―――。



紡錘形の湾内は夜闇に包まれていた。暗い海に浮かぶ一隻の客船。その一室。通信機の接続が切れた事を確認してから、ルルーシュはゼロの仮面をとり、一息つく。


「守備はどう?」


背後からの声にルルーシュは振り返る。そこにはベッドの上で横になるサラの姿が。いつもの学生服ではなく、余所行き用の白地のワンピース。ルルーシュは彼女のそばに歩み寄り、ベッドに腰を据えた。


「さあな。今の段階では、どちらに転ぶか五分五分といったところか」


「そう、」


「この問題は、要するに、相手が何処まで自分達の政策の実現確率を優先するかということだ。コチコチの法律至上主義か、打算的な政策優先主義か。法で定められた量刑規定を重視するのであれば、こんな荒唐無稽な提案は一考にすら値しない。だが、政策を優先するのであれば、考慮の余地はある。最終的に鍵を握るの、彼等が何処までこの行政特区・日本に対して本気で取り組んでいるか…そこかもしれないな」


「まあ、乗ってこなかったら別の手を打つだけなんでしょう?」


「ああ」


軽く頷くルルーシュにサラは小さく笑った。


「でも、もしそうなったら今すぐこの海域から脱出しなければならないわね?」


「…………」


「肩の傷が癒えかかっているとはいえ、寒中水泳は自殺行為ね」


「わかっている。ラクシャータからはまだ無理をするなと厳命されている。あいつをこういう事で怒らせるのは、俺も怖い」
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