反逆連載2(r2編)凍結
□エデン〜僕等の理想郷〜
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神聖ブリタニア帝国第98代皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアは一代でブリタニア帝国の領土を拡大した人物だった。老齢にあるにも関わらず、未だに衰えることを知らない。皇室特有の紫の双眼は曇り一つなく、嘘偽りなど許さないという鋭い視線の先には、大きなモニター。四角いモニターに映っているのは、彼の娘であった。
『申し訳ありません、お父様』
皇帝シャルルの娘、ナナリーは緊張感をたたえた声で述べた。
『ですが、今回の事は枢木卿に罪はありません。全て私の責任です。お叱りはどうか私に。会場の指揮を枢木卿にお預けしたのは私なのですから。それに、もし私がその場にいたとしたら、同じように…』
「――――ゼロを見逃した」
シャルルは静かにその重い口を開いた。
「百万の不穏分子事、指をくわえたまま何も手を打たず―――そう申したいのだな、ナナリー」
画面越しのナナリーがゆっくりと重く頷いた。
『は…はい…』
息詰まるような静粛がシャルルの周りとモニター越しのナナリーを覆い尽くす。それ程長い時間ではなかったが、重力か何かで押さえつけられるような感覚をナナリーは覚えた。だがしばらくしてシャルルが口火を切った。
「よい。ナナリー」
『!』
「特区の全権はお前に預けておった。たとえ相手がゼロであろうと、それが特区の権限内で行われた事であれば、この父とてお前の判断に口を挟むべきではない。また、ナイトオブセブンは皇帝直属の騎士である。臣の責は、主に帰す。責められるべきはお前ではない」
『あ、あの。でも…』
「無論、ナイトオブセブンを罪に問うようなこともせぬ。あの男にお前の補佐を命じたのは、この皇帝である。あの男の決断、それ即ち皇帝の決断」
『あ、ありがとうございます、お父様。本当に、本当に――』
「お前には変わらず、エリア11の総督の任を命ず。励めよ、ナナリー」
『はい』
ナナリーの通信は切れた。彼の周囲が再び静粛を取り戻す。