反逆連載2(r2編)凍結
□エデン〜僕等の理想郷〜
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十二月に入り、漸くエリア11は落ち着きを取り戻した。先月末に執り行われた行政特区・日本の設立式典。そこで起こった、百万人のゼロの大脱走。事件後、ナナリーは二、三日ほど酷く落ち込んでいた。まあ、無理もないだろう。結局、彼女の想いは百万人には届かなかったのだから。しかし、ずっと落ち込んでいることなど無論彼女は許される身ではない。現エリア11の総督は紛れもなく彼女なのだから。彼女には大きな責任がある。総督としての負うべき責任が。
そう、彼も言ったじゃないか。
――――彼、ゼロが。
その彼、いや彼とは再会出来なかったが彼の補佐官という要は彼の代理の人間と会談の場を設ける事が出来た。これは総督の権限内で出来た事だ。表向きでは諮問会と呼ばれるものだが、この会談に関しては秘密裏な事故、知る者は極僅か。通信は騎士団側の条件から音声のみとのこと。
「えっと、初めてましてですね」
先にナナリーが口を開く。
「音声のみですがご無礼をお許し下さい、ナナリー総督。ゼロの代理を務めさせていただきます、イブと申します。普段はゼロの補佐を担当しています」
変声マイクで変えられた声でイブもといサラは述べた。ちなみにイブとは咄嗟に思い付いた偽名だ。
「じゃあ、貴女があの噂の?」
前線にはあまりでないゼロの補佐官。だが中華連邦での婚前式で一躍有名になった。顔は隠しており、容貌は不明な為、国籍分からない。だがナナリーは日本人ではないことは確信した。彼女の話すブリタニア語は流暢なものなのだ。
「あの噂のという人物に当てはまるかはわかりかねますが、補佐官は私一人です。しかし、驚きました。まさか、貴女からこのような申し出があるなど…。ゼロは驚いておられましたよ。ナナリー総督は無茶をされるような方だったかな?かと」
「そうですか、ゼロがそのような事を」
ナナリーとしては、ゼロに会いたかったというのが本音だ。ゼロには言いたい事と、そして尋ねたいことがあった。スムーズに話を進める為にも本人が良かったのだが、当人が他の予定があるなら仕方がない。それに彼が寄越した代理なのだから間違いはないだろう。ましてや彼女はゼロにもっとも近い人物と言われているのだから。