反逆連載2(r2編)凍結
□エデン〜僕等の理想郷〜
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久々の二人きりの時間はルルーシュとサラにとっては束の間の安息日といえた。と、いっても一般的なカップルがするような行いはしない。二人きりになっているだけで、ルルーシュは生徒会の書類整理、サラは騎士団の編成案などの雑務処理に追われていた。二人にとっては一緒に居るということで安息日といえたが、身体的には休暇とは名ばかりといえた。
「ねぇ、本当に大丈夫かしら?」
「ん?」
書類を処理する手を止めて、サラがルルーシュに述べた。
「カレンの事よ」
彼女の言葉にルルーシュはああと思い出し、生徒会の雑務をこなしながら冷静にサラの質問に答えた。
「エリア11にはナナリーがいる。それに今、あそこの軍事担当者はスザクだ。俺達にとっては最悪の敵だが、それでも、あいつは戦場の外で無闇に血を流すことを好むような人間ではない。サラ、お前ならわかるだろう?」
「そうね。彼なら筋を通すだろうし」
何だかんだそういった部分は信頼感がある。
「でもそうなら、救出作戦は早めに決行する必要があるんじゃない?先々に予定している日本解放戦を思えば、その前にカレンを―――」
ふと、サラはあることに気付き、口を閉じた。するとルルーシュが今度は作業を中断して、しっかりとその紫の双眼で彼女を捉えた。何を探るような視線だった。
「あそこにはナナリーがいるわ」
ルルーシュの眉がぴくりと動いた。サラは言葉を重ねる。
「カレンやスザクの事は兎も角としても、あそこにはナナリーがいる。ねぇ、その、私達がやろうとしている事は、その…。ナナリーは頑張っているのよ?。だけど、それを私達は…」
ナナリーは総督の責務を少しずつではあるが、こなしていた。つい先日にはブリタニアの植民エリアとしても珍しい、ナンバーズ向けの労働条件を定めたエリア法が公布された。
「ナナリーはエリア11の日本人達にとっては味方になりつつあるわ」
「それはいいことだ。ナナリーがエリア11の日本人に憎まれない統治を行うのは」
「ルルーシュ?」
サラは首を傾げた。
「少なくとも、それで救われる日本人も確かに存在する。サラ、お前も言ったように、ナナリーの統治によって、エリア11はいま平穏を取り戻しつつある。カラレスの時のように、悲惨な生活を強いられる日本人の数は確実に減っていることだろう。しかし…」
「しかし?」
「それでも、ナナリーの統治は鎮痛剤にはなりえても、特効薬にはなりえない」
サラは黙り込んだ。ルルーシュは構わず続けた。
「結局のところ、現在のブリタニアという国の病根を完全に取り除くには、手は二つしかない」
「あの皇帝から皇位を奪うか、ブリタニアという国を外から一度破壊するか。でしょう。」
サラの答えにルルーシュは微笑した。
「その通りだ。そして、俺達が今進んでいるのは後者。サラ、そろそろ俺の言いたいことは理解できただろう?」
ルルーシュが特区・日本を出た理由。それも、100万人の日本人達を連れて。
「ナナリーと無理に争って、彼女の手を血で汚すのは避けたかったから、そして――」