魔法連載

□闇と金の蛇
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タイトル『闇と金の蛇』







〜闇と金の蛇〜





八月に入っても、日常が変わる事はなかった。

兄は復活をとげた。しかし、魔法界の人々はその

事実を知らない。

この事実を知っているのは、ポッターとダンブル

ドア位だろう。否、ダンブルドアはその事実を魔

法省に伝えたが、魔法省はその事実を鵜呑みにし

なかったといった方が正しいのかもしれぬが。

魔法省大臣、コーネリウス・ファッジが信じなけ

れば魔法界の人々にその事実が伝えられる事はな

いのだから。




因みに、その方が今の兄にとっては都合がいいのだ。

無事、身体を取り戻した。だが、まだ完全にすべてを

取り戻した訳ではないのだ。闇の陣営の体制がととの

うまでは完璧取り戻したとはいえぬ。

すべてを取り戻すには、時間を有する。少なくとも、

あと一年は・・・

だから、魔法省がそのダンブルドアやポッターが伝え

る事実を戯言で片付けてくれたことには非常に感謝す

るところである。

無能さがこのような事に役にたつとは思いもしなかった。

普段では、魔法省大臣など何の使い道もないが、こうい

う時は役に立つらしい。




しかし、ダンブルドアもだからといって、指を銜えて私達の

活動を見過ごしている訳ではない。

あれこれ、手をうち、私達の邪魔をする。その妨害の所為で

余計にたいせいを整えるのに時間を有しているのだが。

だが、そのような身勝手なダンブルドアの行動が己に災いを

招いたらしい。




今朝、届けられた日刊預言者新聞の見出しは、まさに其れだった。




ダンブルドア、国際魔法使い連盟から議長職を剥奪される。




他にも、ウィゼンガモット法廷の主席魔法戦士の地位も剥奪

されたなど・・・。職を失った理由は、老いぼれて判断力を

失っているからだと、書かれているが。実際のところは異な

るであろう。

恐らく、魔法省は楯突くダンブルドアをアズカバンか何処か

幽閉でもしたいのだろう。

今、ヴォルデモート再来の情報が魔法界流れて、困るのは

魔法省大臣のファッジだ。

復活しているにも関わらず、何も手を施さなかった。などで

魔法省大臣の地位をおわれるのは奴なのだから。

そこで、ファッジはダンブルドアの地位や信用を失墜させ、

窮地に追い込もうとしているのだ。




「愚かなものね・・・」




広げていた新聞をテーブルに置き、かわりに紅茶の入ったカッ

プを手に取った。

その際、正面の席についてるルシウスとめが合う。




「何か?」



「いえ、ただ・・・。楽しそうに笑っておられましたので」



紅茶を口に含みながら、ルシウスは述べる。彼の言語に私は

眉根を寄せた。



「観察していたの?」




手に持っているカップを、ルシウスはテーブルに戻す。

やがて、小さく頭を下げ言葉を発した。



「ご無礼を、サラ様。ですが、一体どのような記事にそこまで

関心をお持ちに?」




「嗚呼・・・。それはね・・・」



私もカップをテーブルに戻し、再度広げられた新聞を手にとり

先程の興味深い記事を、指差す。

すると、ルシウスはニヤリと不気味な笑みを浮かべた。



「その記事ですか・・・。そうですね。その記事でしたら、

貴女様が興味をもたれるのも頷けますな。」




「貴方は何か、これについて知っているのかしら?」



魔法省と深い繫がりを持つ、ルシウス。新聞に書かれなか

った、詳細なども知っているのではないだろうか?




「粗方、その記事通りです。が、この事はまだ書かれていない

ようですね?」



「それは、何なの?」



「近々、ダンブルドアはマーリン勲章をも剥奪されるそうですよ。

ファッジの奴がそう漏らしておりましたので、間違いないかと・・・」




冷たいアイスブルーが艶めかしく一瞬、輝きを放つ。ギラギラとさせ

私を見詰めていた。否、私ではなく、新聞に登載されているダンブル

ドアの写真をだ。

写真のダンブルドアは何かを演説している。しかし、音声が出るわけ

ではないため、何を伝えているのかは理解出来ないが・・・。



「それは、さぞかし楽しみなことでしょうね?ルシウス・・・」




クツリと喉を鳴らし、やがて彼は席を立ち、私の方へと歩み寄ってくる。

私の前で立ち止まり、ルシウスは私の手の甲に口付けを交わす。

顔を上げ、私をその灰色がかった瞳に映す。




「サラ様も、楽しんでおられるのでしょう・・・?」



「私は、どうでもいいわ・・・」




ダンブルドアの地位などに、興味はない。だが、



「だけど、魔法省がダンブルドアを追い込んでくれる事には

感謝しているわ」




「闇の女帝にお褒めの言葉を賜るなど、ファッジもさぞかし

喜ばれることでしょう・・・」



「あんな、使い物にもならない人間は、こういう時位は

役に立って貰わないと・・・」




じゃないと、存在自体が無駄だわ









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