妄想小説V*
□●LSS〜A編〜●
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「い・・・よし、ここがベッドで・・・よし、よし。」
部屋の見取り図に、どんなふうに用品を設置するか小一時間悩みぬいた挙句。アスランはバタバタしていた身体をようやく床に落ち着けた。どこにいてもラクスの様子が見えるように考えたこの配置なら、きっとうまくいく。
ふうと息を付き、部屋の片隅でおどおどして固まっているラクスに声をかける。
「ラクスのベッド、怖いだろうけど・・・寝ても構わない、から。」
きっと、疲れてしまえば自分からケージやベッドの中に身を収めてくれるだろう。無理にすぐ慣れさせるのは逆に良くない。
「・・・入門本でも、読んでおくか。」
アスランは座ったまま、近くに放り投げてあった兎の飼い方についてまとめられた本を手繰り寄せる。ラクスの場合は亜種だから、何処まで通用する知識があるかは分からないけれど。
ぱたぱた、
ぱらりと、本を開く前に柔らかい足音が近づいた。
「・・・・ね、る?」
「ラクス・・・?」
困ったように、それでも目の前に駆け寄ってきたラクスの姿にアスランはぼけっとする。本を手元に戻そうとしたアスランの膝の中、急に温かみのある柔らかさが入ってくる。
ラクスが、膝の中でぎゅっと身体を丸めて、目を閉じた。
「はは・・・俺で、いいんだよな・・・?」
不覚にも、泣きそうになる熱い目頭を押さえてアスランは小さく呟いた。こわごわと初めて触れたラクスの髪や肌は、驚くほどに温かかった。
END