妄想小説W*

□●エンキン☆ダカイサク●
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大勢の生徒が昼食を取ろうと学食だの外に出ようとごったがえしている中で、ラクスは一人手帳とにらみ合っていた。
木陰になっているベンチは心地よく、柔らかな服装をしたラクスがたたずむとたまらなくお似合いの光景になる。そんなミスキャンパスを易々と狙えるともされるラクスを見つめている男子は腐るほどいるのだけど、ラクスはちっとも気づきも気にもしなかった。
彼女が今悩みに悩んでいるのは全く別次元のこと。


(今日の帰りはどっちのお店に行けばいいのでしょう・・・っ!)

ひとつはいつもの学校の近くにあるテラス付きのカフェ。ラクスの大好きなハーブティーがウリのそこで、今日から新フレーバーのパイが出るらしい。
もうひとつは駅中に新しく出来たというラップサンドのお店。アメリカンスタイルでメニューも豊富な店内がとっても可愛いという噂。
どちらのショップデータも拾っているものの、魅力が違いすぎて選べない。それに、どちらに行くかどうかによってこれから食べるお昼ご飯のボリュームだって調節したい。毎日一緒にお昼を食べてくれるアスランは絶対にどちらがいいとは言わないし、どっちにだってついてきてくれるだろうから・・・。
もんもんと悩んでいると、学食の方からけたたましいハンドベルの音。この学校名物の焼き立てパンの昼の出来上がりの時間は確か・・・12:30だった、はず・・・



「ふわあああっ?!!!!もうそんな時間・・・っ?!!!」


アスランはいつも講義が終わると中庭で待っていてくれる。昼過ぎにはだいぶ暇になってしまうラクスとは違って、昼からの講義のほうが集中しているアスランにとっては昼食休みは貴重なものだろう。
放課後の寄り道のことはとりあえず置いておくとして、ラクスは中庭に向かってぱたぱたと走りだした。

              
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