妄想小説V*
□●雨がやんだら●
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●雨がやんだら●
「全く、なんだかなー。」
締め切った窓、開ききったカーテンをもってしてもリビングは薄青かった。壁一枚を隔てただけの外の音も、遠くから聞こえるそれのように柔らかく、うっとおしかった。
ラクスさんと、遊びに出かけようと思ってたのに。
子どもみたいに拗ねた表情で舌打ちしても、ソレをどこへ向ければいいのか。
雨は相変わらずしとしとと水音をシンへ届ける。
買い物して、ちょっと町をぶらつくとか。
女の子の喜ぶお店で、待ちぼうけを喰らうとか。
俺の服を裾を引っ張る小さな手を握るとか。
妄想がちゃんとあるってのに、どうしてくれる?
睨み付けても、窓の向こうの雨はもちろん何も変らなかった。