妄想小説W*

□●KISSから●
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●KISSから●


数日間部屋にこもりっぱなし・かかりっきりにさせられた厄介なプログラミング。朝早くに終わり、なんだか眠るようなタイミングは逃してしまった。
しばしばする目とぎしぎし軋む体をロボットみたいにがしがし動かして、僕はようやく部屋を出た。
窓からきらきらと、涼しげな午前の光が射していて、すごくキレイで、ちょっと鬱陶しかった。


「っふー・・・」
シャワーを浴びてさっぱりした後のガス入りウォーターって最高だと思う。
飲みきれなかった残りのボトルを片手にぶらぶらと廊下を歩く。このまま部屋に戻っても、ベッドに転がったらきっと明日まで目覚めない。それはなんだかもったいないし。
(ラクスにお礼、言わなきゃ)
数日間、集中しきっていたからきっと、ラクスが用意してくれたご飯だとか温かな言葉を無視してたはず。今では僕の癖も分かってくれてる彼女は、きっと僕の方から彼女へ出向くまで優しい放置をしてくれているはずだから。
(逢いたいな)
何故かこういうときは特に、彼女の温かい笑顔が見たい。ぼーっと考えながら、今頃はラクスがどこで何をしているだろうかと思い出す。廊下につっ立っていると、中庭で真っ白なシーツがはたはたとひらめいているのが見えた。ああ、彼女は庭に出ているかもしれないな。動きだそうと脚をそちらに向けた時、シーツの波をくぐりぬけてミーアがこちらへ走ってきた。



「ミーア?」
「あっキラさん♪ラクス姉様ならまだ庭にいますよ!」
「・・・まだ何も言ってないけど」
「それ以外に用事なんてあります?」
「ない、けど」
「うふふーvv」
「・・・やけにご機嫌だね」


彼女のことも数日ぶりに見るから、こうしてにやにやしながらこちらを見つめられてもすごく困る。僕は事情を知らないし。いや、事情を知る必要もないけど。
気持ち悪いなあと心で呟き、無視しようとした矢先ミーアがそりゃもう嬉しそうに話しかけてきた。



「今さっき、ラクス姉様にちゅーしてもらったんですv!」


                         
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