◆唄◆

□消 え た モ ノ
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いつも、当たり前のようにそばにいて。
本当に、隣を見ればすぐに目を合わせられるくらい。
それくらい、とても、とても。
近くに、いた。


近くて、近くて。
ずっと傍にいると思ってた。
ずっと傍にいようと思ってた。
近すぎて、忘れるなんてこと、なかった。
ずっと、ずっと、大切なヒトだった。

泣かないで。ねえ、笑って?
そうやって、慰めて。
ずっと一緒に、いよう?
そうやって、包み込んで。
君と僕は、これからもずっと、一緒にいると。
当たり前のように、信じて。

空を見上げれば君も見上げて。
目を閉じれば君が浮かんで。
離れれば、君を思った。

どうして?何故だろう?
だって、今まで傍にいた君が。

今は、もういない。

あれは夢だったんだろうかなんて、そんな風に惚けられたら。
君を忘れようと、決心ができたら。
そしたらきっと、僕は前へ進めた。

泣きたい。泣きたい。泣きたい。
君を想って、泣きたい。
涙と一緒に、全部全部。
僕の全てが、流れてしまえばいいんだ。

君を想う。
まだ、君を想う。


当たり前のように傍にいた温もりは。
いきなり消えて、冷え切った空間を残して。
もう、何も見えなくて。
感じ、られなくて。



冷たい、冷たい世界は。
僕だけを置き去りにして、灰色に霞む。
君は。
君は今、どこにいる?
探して、探して、そうすれば。

いつか君に、辿りつくのだろうか。




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