◆唄◆
□Fly…
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ふわりと。
舞い落ちた場所は。懐かしい場所。
ここで笑いあったことも
ここで信じあったことも
どれも鮮明に思い出されるけれど。
それでも、もう届かない『過去』
上のほうからゆっくりと、音もなく降り立った羽は
ただ『過去』という水面に、小さく弧を描いただけで。
少しだけ思い出してから、また再び未来に目を向けた。
まだ、飛べる。
前飛び立った場所に戻る理由は、もうなかった。
過去を振り返ってばかりでは、前には進めない。
それはもう、ちゃんと理解したはずだから。
少し寂しいけれど
私はまた、飛び立とうと思う。
大きくなった翼を広げて。
まだ見ぬ大きな空へ。
『あの頃』にひとつ。
名残りという羽根をおとして。