◆唄◆

□One
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時々すごく、泣きたくなるんだ。


見えていたものがあって。
触れられたものがあって。
微笑めば笑ってくれるし、声をかければ振り向いてくれる。

当たり前のようなもの。実際、当たり前のもの。

だけどそれが壊れてしまったら、私は一体どうなってしまうのだろう。

痛みを知ることはまだないけれど。
苦しむこともまだないけれど。

それでも、ふとした瞬間に、涙が零れそうになる。

バカみたいだなぁって思ってしまうけど。
見えないからこそ、知らないからこその恐怖っていうのも、やっぱりあって。
それがもし、忘れてしまっただけであっても。
…忘れてしまったからこそ、思い出すことを拒んでいるのかもしれないのだけれど。

助けて欲しいなんて言わない。
私と一緒に泣いてとも言わない。

ただ、わかって欲しい。

失ってしまったら、もう手に入らないのだと、信じてるから。


時々、すごく泣きたくなるとき。
君が傍にいてくれれば、それだけで、いいから。




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