◆唄◆

□いたみ
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すれ違いなんて
そう、在りえる事だとは思わなくて。
ただ、平凡な毎日を送っていたけれど。

でも
それでも現実は、平凡を許さなくて。
いつでも、私にいたみを与えた。

それは
いつかは見過ごせるほどにかすかで。
いつかは涙が出るほどに、胸を締め付けた。

そして
私が泣いている横では、
また誰かが同じように涙を流して。
また前を歩く人もいる。

私が歩いている時には、
きっと誰かが後ろで泣いているんだろう。

でも、その涙の囁きは 誰にも聞こえる事はない。

ああ、そうか。
私が手を伸ばしても 決して届かぬモノがあるように
皆、同じように手を伸ばしては 諦めているのだ。
いくら涙を流しても 手に入らぬモノがあるように
皆、同じほどに涙を流しているんだ。

そして、また誰もが歩き続ける。
いたみを必ず抱えながらも それを乗り越え 歩き続ける。

だから
乗り越える壁が あまりにも高ければ
きっと 歩く道筋は閉ざされる。
それを低くするために
皆、立ち止まりいたみに耐える。

そうやって繰り返しいたみに耐えて、いつか掴める『モノ』。

それは


それはきっと、とても――――――――。




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