◆唄◆

□夢を見たよ
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きみが笑った、夢を見たよ。

いつもの朝に、いつものきみがいたよ。
おぼろげでしかない景色のなかで
たしかにきみは、笑っていたよ。

恐くて堪らなかったモノから逃げ出したはずなのに
おかしいよね。
今は、もっと恐いものが目の前にある気がするんだ。

きみの言葉で、ぼくはたしかに救われて
きみの笑顔は、ぼくにたしかな勇気をくれた。

失ったものと思えるのなら楽なのかな。
空っぽになった箱の中には、何も入れる気にならないんだ。
もがいてもがいて取り戻そうだなんて、
ねぇぼくには、そんなことが言えるのかい?

きみが笑った、夢を見たよ。

それを見て、安心したぼくは
同じようにきみに笑顔を向けるんだ。

ぜんぶ、わかっていたつもりだったけれど
ぜんぶ、見えなくなった錯覚に襲われる。
だってもう、何が正しいのかなんてわからないんだ。

きみが笑った、夢を見たよ。

だけどぼくは、何だかすごく泣けてきた。



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