捧げ物

□世界が君と俺だけならば   14000hit 晴海様へ
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そんな事わかってる、そんな事知っている、全部納得してる筈だった・・・。





梅雨に入り、今日もどんよりた空のもと、さっき雨が降り始めた。
こんな日でも、見回りには行かなくてはいけない訳で、俺は山崎を連れて外に出た。

「あー、鬱陶しい雨だぜィ。こんな日に見回りなんて、ついてねぇや。さっきまで降ってなかったのに。」
「梅雨ですからね、仕方ないですよ。」
「早く止まねぇかなぁ?」

そんな話をしながら歩いていると、人混みの中、前方から見慣れた傘が近づいてくる。

神楽だ!でも、傘の高さがおかしい・・・。

謎が残るまま、俺は神楽に出くわした。そして、俺は少し苛立ちを覚えた。
神楽の傘を旦那が持ち、二人で仲良く相合い傘だった。

「総悟!見回りアルか?」
「あぁ、神楽は?買い物かィ?」
「うん、銀ちゃんがどうしても一緒に来て欲しいって言うから、仕方なくついてきたアル。」

すると旦那は神楽の頭を軽く小突く。

「誰がついてこいって言った?お前が勝手についてきたんだろ?」
「でも、そのおかげで銀ちゃんは、雨に濡れずにすんだアル。感謝して欲しいネ。」
「あー、はいはい。神楽が常時傘を持ってるおかげで助かりました。」

今度はガシガシと頭を撫でた。
別にただ仲がいいだけなのに、イラついて仕方ねぇ。

「旦那、傘はどうしたんでィ?」
「雨降る前に、帰ろうと思ったんだけどさ、急に降ってきやがった。この時期の天気予報なんてあてになんねぇな。」
「へぇ〜、そうですかィ。」

旦那は相変わらず、へらへらした顔で話す。

「そろそろ行くぞ、神楽。」
「うん。あ、総悟、明日は休みだよネ?」
「おぉ、朝、万事屋に迎えに行きまさァ。」
「わかったアル〜!じゃあね、総悟。お仕事頑張るアルよ。」
「おう、またな。」

軽く手を振り、二人は俺達の横を通りすぎて行った。

「あの二人って、何だかんだで仲いいっすね。父娘みたい。」
「父娘?」
「にしては、ちょっと年が近すぎるけど。」

あぁ、あの二人は父娘なんだ。ってそんなの前からわかってたのに今更嫉妬なんて、俺も女々しいもんだ。
そうだよ、父娘以外の何物でもない!

そう自分に言い聞かせても不安が残るのは、相手が旦那だからだと思う。

あの人には、勝てそうにないから・・・。
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