宝物

□俺たちの日常
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―俺たちの日常―











「おまえさぁ!いい加減慣れろよ!!」

「うるせぇ!こんな事慣れてたまるかァァァァ!!!」


かぶき町に響き渡る男たちの怒号。


いや、秘密裏に付き合っているカップルの痴話喧嘩とも言う。




万事屋の坂田銀時と真選組副長土方十四郎はこの日、久々に昼間からデートを楽しむ予定だった。



だが、如何せん男同士の…しかも真選組副長である自分が日が高いうちから恋人と現を抜かしてなどいられない、と土方は銀時の数歩後ろを歩いての全くデートに見えないデートをしていたのである。



それに痺れを切らした銀時が土方の腕を引っ張り、路地裏へ連れ込む。



民家の壁に土方の背中を押し付けて、無理矢理キスを仕掛けるが、土方は渾身の力を腕に込めて抵抗を図った。


「なんだよ!キスぐれーいいだろうが!!」

「テメェ、今昼間だぞ!?」

「だからなんだよ!どーせ夜にはディープキスするんだからよ!!」

「そーいう問題じゃねェェェェ!!!こんな路地裏なんていつ人が来てもおかしくねぇだろうが!もしバレたら俺の立場が危ういっつーの!せっかくこうして付き合ってんだから!!!!それくらい分かりやがれエロ天パ!!!それともテメェは脳みそもクルクルパーか!?あァ!!??」

「テメェェェェェ!!下手に出てりゃいい気になりやがって!久しぶりにおまえに会ったんだから触れ合いたいに決まってんだろォォ!?もう触るだけじゃ物足りないけど会っていきなりヤるのは嫌だろうと思ってキス止まりで我慢してやろうという俺の気持ちを少しは汲め!!マヨネーズばっか摂取してるからベタベタの社会的観念ばっかり気にする考えが浮かんじまうんだよ!」

「マヨネーズは関係ねぇだろォォォ!!??テメェこそ糖分ばっかり採って水飴みてぇな甘っちょろい社会的観念の欠片も無い考えしか浮かばねーんだよ!」

「テメッ!!糖分ナメんなァァァァ!!!」

「テメェこそマヨネーズナメんなァァァァ!!!」



路地裏にいたはずが、次第に取っ組み合いになり大通りの人々が行き交う中でお互いの胸倉を掴みあって怒鳴り散らした挙げ句、相手の髪を掴んだり叩き合ったりと、小学生並みの喧嘩を繰り広げていた。



この二人、どちらも極めて負けず嫌いな為、丸く収めるとか、どちらかが先に折れるなんて考えには全く持って及ばないのである。




事態の収拾は、二人の取っ組み合いを見ていた町人が、巡回中の警察官を呼びに行った所でやっとついたのであった。




その警察官とは――――





「全く…こちとらアンタらのイチャコラに付き合ってる暇はねぇんでさァ。これから俺ァ昼寝の時間だってのに。」



赤いアイマスクをクルクルと指先で回しながらそう言ったのは真選組一番隊隊長・沖田総悟であった。
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