感謝御礼!2周年

□屍、越えさせて頂きます。
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彼女の父親、それは男なら通らなければならない道で、仕方がない事。
でもまさか、もうひとり立ちはだかるとは思ってなかったよ……。





「放せ!バカ兄貴!!」
「嫌だよ。せっかく捕まえたんだから。」
「はーなーせー!!」
「だって放したら話聞いてくれないじゃん。神楽、すぐ逃げちゃうんだもん。捕まえるのは簡単なんだけど、めんどくさいからさ。」
「お前と話す事なんて、何一つないアル!」
「神楽がなくても、俺にはあるから。」

部活が終わって下校途中、校門を出てみれば、その少し離れた所で見知らぬ男に手首を掴まれ激怒している神楽を見つけた。

相手は……誰だ?春雨高校の制服だよな?
しかも、今時そんなの着てるの田舎のヤンキーぐらいじゃね?ってぐらいの気合い入った長ラン。

なに者だよ?

しかし、神楽もいつもだったらあんな奴、一捻りだろうに……なにやってんだ?そんなに強いのか?

「あの〜、なにしてんですかねィ?」
「総悟!!」
「君、だれ?邪魔すると殺しちゃうよ?」

いきなり物騒な事を言ってのけたその男は、よく見ると神楽にそっくりで……。

「俺の彼女なんですがねェ。手、放してやってくれませんかィ?」
「あ〜、君がそうなんだ。へぇ〜、可愛らしい顔してんだね。でも、今は君、関係ないから帰ってくれる?」
「見知らぬ男に彼女が絡まれてて、ほっといて帰るのは出来ないでしょう?」
「見知らぬ?可笑しな事を言うよね、神楽、俺の事知らないの?」

神楽を見ると、神楽はその男を睨みつけながら答えた。

「よーく知ってるアルよ!バカ兄貴!!」

その答えに、驚きとある種の納得をした。

「だって。わかったら早く消えてくれないかなぁ?俺は神楽に用事があるんだよ。」

さすがにお兄ちゃんとのやり取りだとわかると、力ずくって訳にもいかねぇよな……。

なんて思ってると、神楽が必死に目で訴えかけてきてるのがわかる。

「俺がいちゃ、いけない話なんですかねェ?俺も一緒なら神楽も大人しくしてくれるんじゃないかと思うんスけど?」

それを聞いたお兄さんは、神楽に「そうなの?」と尋ねると、神楽はコクコクと頷いた。

「ふーん。だったらいてもいいよ。」
「それと場所、移動しませんかねィ?お兄さん、物凄く目立っちゃってるんで。」
「そう?」
「いい年してそんな恰好してるからネ!」
「そっか、じゃあ見てくる奴を全員ぶっ飛ばせばいいんじゃないかな?」

ニコニコと笑いながら、とんでもない事を言い出したよ。

「いや、それはちょっと……。」
「家に帰るアル。だったら問題ないネ。」
「仕方ないなぁ〜。たまには帰るかなぁ。それじゃ、早く行こうよ。君もちゃんとついてきてね?」

頷いて、神楽の腕をガッチリ掴んで歩きだしたお兄さんについて行く事にした。
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