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□1日じゃ足りない
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「やべっ」


時刻は9時すぎ。
今日はなぜかセットしていたはずの目覚ましがならなくて、ロックオンは普段より起きるのが遅かった。

せっかくの休日。たまった洗濯物を片付けたいし、弟たちの部屋に掃除機もかけたい。
予定より寝坊して、なんだか少し損をした気分になる。


とりあえず、まだ寝ているだろう三人の弟たちを起こそうと部屋を出た。
ロックオンがバイトで帰るのが遅かったり、末っ子の刹那ももう中学にあがったので、最近は別々に寝るようになったのだ。
言い出しっぺのくせに、それを一番寂しがっているのはロックオンだったりする。


「おきろー!休みだからって・・・」

いつまでも寝てんなよ、と続けようとしたのに。
言葉は尻すぼみになって消えていった。


「どうしたんだ?」


どうした?は、ロックオンの台詞だ。
低血圧でいつも寝起きが悪く、毎朝起こしに行っているティエリアが、1人で起きてもう着替えも済ませていた。
休日なのに。


「いや、起きてるならいいんだ」


ティエリアだけでも、もう起きているなら先に朝食の用意をしてないと。
そう思ってダイニングに向かうと、いい匂いが漂ってきた。


「おはよう、ロックオン」

アレルヤがフライパン片手に振り向いた。
テーブルにはすでに四人分のフレンチトーストにグリーンサラダとヨーグルト。
あとは目玉焼きで完成らしい。

「簡単なものしか作れないけど」とアレルヤが微笑む。


ロックオンはぱちぱちと瞬きをした。
・・・なんか、拍子抜けだな。
毎朝、二度寝が当たり前のティエリアと、起こしてから15分はぼんやりしているアレルヤがこんなんじゃ。
喜ばしい光景ではあるが、なんだか寂しい気持ちがこみ上げてくる。


「なんだよ?今日にかぎって」


首をかしげるロックオンに、アレルヤはテーブルのうえに飾ってあるカーネーションを指さす。
昨夜まではなかったはずのそれを見て、ロックオンはなんとも言えず、くすぐったいような温かさがこみ上げてきた。


「・・・こんなでっかい子供をもった覚えはねぇけどな」

ロックオンは苦笑した。

「兄の日がないから仕方ない」

背後から声がした。
ティエリアがやってきて、テーブルにつく。


「いつもありがとう、ロックオン」

目玉焼きをのせた皿をテーブルに並べて、アレルヤが言う。
こうやって改めていわれると照れるもんだなぁ、とロックオンは頭をかいた。
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