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□世界の女子に宣戦布告
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刹那にバイトがある日は、俺が飲みに行って閉店後、たいてい一緒にうちに帰って来て。
まぁそっからは大人の時間というかなんというか。
それが習慣になりつつある。

でも今日は珍しく、そのまま二階の刹那の自宅にお持ち帰りされちゃって。
店にいるときから赤褐色の瞳に欲情の色が見えて、俺の身体の芯にもじわじわと熱がともってたというのは秘密だ。


「ん、ちょっ、せつ、な」

キスの合間になんとかしゃべろうとするけど、気持ちよさに負けて結局流される。
いつものパターン。
・・・これでいいのかなぁって気持ちもあるんだけど。


どんどんうまくなるキスとセックス。
なのにこの子どもは、俺しか知らない。
ぜんぶ、俺が教えた。
そう思うと、頭の中がいっそう快感で塗りつぶされていく。


2ラウンド目が終わって、冷静さを取り戻してきた刹那がいったんミネラルウォーターを冷蔵庫に取りに行く。
ペットボトルを持ったままベッドに近づいてくる刹那の首に、ねだるように腕を伸ばすと水を口に含んだ唇が俺に降ってきた。
キンキンに冷えてたはずの水が、少しだけぬるくなって俺の喉を滑り落ちていくのが、妙にやらしい気がする。

そのまま俺の上にのりあがってきた刹那が「何を言いかけていた?」と今さら聞いてくるけど、熱のひいた思考じゃなんとも言い難いことだったりして。


「いや、なんて言うかさ」
ごにょごにょ言葉を濁していると、強い光を宿した瞳が先を促してくる。
この目に逆らう術を、俺は今のところ持ってない。持つ予定もない。

「・・・俺たち、セックスしかしてないよな」

恥を忍んでぼそっとつぶやくと、大真面目な顔で「キスもしている」と返されて、ちょっと脱力した。
いや、こういうとこもかわいくて好きなんだけどさぁ。

今まで寝た連中は年上ばかりで、俺はたいてい相手にまかせていれば気持ちよくいられた。
快楽以外を望むこともなかったから、めんどくさい事態に陥る前に逃げればそれで終わり。

めんどくさい恋愛が大事になる日が来るなんて、思ってもみなかった。


「そうじゃねぇって」
あー、なんて言ったらいいか・・・。

枕に頭を沈めてうんうん唸っていると、刹那が俺の髪の毛や首筋に唇で触れてくる。
喉もとまで這い上がってくる甘い疼きはなんとか堪えたけど、びくっと身体が震えてしまう。

とにかく刹那は、キスが好きだ。
そのせいか、俺も好きになってきてるから笑える。
・・・キスって、気持ちいいんだなぁ。

もう一回くらいならなんとか平気か、と連日のセックスに重たい腰と相談しつつ。
でも結局欲しがってくれれば何回だってやっちまうんだよなぁ、とひとりで恥ずかしくなってみたり。

身体をひねって刹那と向き合うと、すかさず顔じゅうにキスが降ってくる。目を閉じてそれをおとなしく感じてると、刹那はさらに好き勝手するのだ。
でも、それが嬉しかったりするから重傷。
額にはちゅっと音をたてて口づけられ、鼻の頭は甘噛みされて。


ふいに、ぐぅと腹の虫が鳴った。言っとくけど、俺じゃない。

思わず笑うと、刹那が少し不機嫌になったのがわかる。
だから目の前にあった唇を舐めてから、シーツを掴んだまま立ち上がった。
腕を引かれたから、「なんか食べるもん作ってくる」と言うと、名残惜しげに指が離れていく。

いちいちかわいいなぁ、もう。
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