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□不純同性交遊のススメ
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☆先輩・後輩
「ちょっと会長、そんな落ち込まないでくださいよー。元気だして!」
机に頭をぺたりとつけて、ため息ばかりを繰り返していたロックオンにクリスティナが声をかけた。
「クリス・・・励ましてくれるのか。なんか傷ついた心に染みるぜ」
浮上しかけたロックオンに「だっていつものことじゃないですか」とクリスがとどめを刺す。
それを見てリヒテンダールが楽しそうに笑った。
ひでぇ、とつぶやく会長の声は頼りない。
「君たち。口よりも手を動かしてくれないか」
パソコンのキーボードをかたかた鳴らしながら、会計のティエリアが職員会議用の予算表を制作している。
「ショックすぎて、文化祭の予算編成どころじゃねぇって・・・」
そう嘆く生徒会長のロックオン・ストラトスは彼女に振られたばかりだと言う。
もちろんその言葉は、厳格なる会計のティエリアには黙殺される。
「告白されたのっていつでしたっけ?つい最近だった気がするんですけど」
書記のアレルヤの言葉に「・・・まだ1ヶ月経ってねぇ」とロックオンはうなだれた。
しょっちゅう告白されては振られ、という生活を彼はずっと繰り返しているのだ。
「何がいけないんだろうなぁ」
そう言いながらも、視線は各クラブからの届出書のうえを彷徨っている。
ときどき睨みを効かせてくるティエリアへの対策だろう。
「イメージと違うんじゃないですかー。年上に夢を見てる1年生とかいるじゃないですか。ほら、会長に告白するのってたいてい年下でしょう?」
クリスの傷をえぐるような物言いに、ロックオンは机のうえにつっぷした。
めいっぱい優しくしてるつもりなんだけどなぁ、というつぶやきは、生徒会室の片隅で書類を漁っていた刹那の耳にも届いた。
それがダメなんだ、と助言してやるつもりなど刹那には少しもない。
「しょっちゅう告白されてるんですから、モテてはいるんじゃないですか。それだけで男の敵ですよ」
リヒティが言った。
んなこと言われたって俺はちゃんとした幸せがほしい、というロックオンの言葉を取り合う人間はいなかった。
「せつなぁー」
周りに味方がいないとようやく察知したロックオンは、一年生の刹那に抱きつく。
「お前は俺を見捨てないよなー」
その言葉に返事をしないまま、刹那はなんだかんだと言ってもみんなに愛されているこのどうしようもない男をちらりと見た。
ホントになんで振られるんだろ、俺。
そうつぶやく彼は、なんてバカなんだろうと思う。
みんなに優しいのは、誰にも優しくないのと一緒だ。
そう言ったって、この男の性格は直らないだろう。
どうせなら、本当にみんなから見捨てられればいい、と刹那は思った。
そうすれば、俺が拾ってやるのに。