GK夢
□手を握ってて下さい
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酔いも回って来てぼーっとする。彼も酔っているのか虚ろな目で私を見ていた。
「さっきさ」
「んー」
「彼氏いないって言ってただろ?」
何を言うかと思えば随分前の事を引っ張り出される。聞かれていたのが恥ずかしい。
「何よーカッコイイ彼氏見つけるんだからねー」
口を尖らせどうせ堺くんは可愛い彼女がいるんだろうねーなんて言ってお酒を飲んだ。あぁ、急にまずくなった。横に手をついて体重をかけて深く息を吐いた。
途端そっと小指に違う人の指を感じた。見れば堺くんの手だった。あっ、ごめん。そうなると思っていたけどならない。お互いじっと触れ合う小指を動かさないでいた。そしてぽつり。私を見ずに本当に小さく呟いた。
「俺、神崎さんの事好きだったんだ」
突然だった。いきなり何を言い出すのだろう。かなり酔っているんじゃなかろうか。でも顔が赤いのは酔いだけ?なんて淡い期待を抱いたのも事実。そして私は慌てるのだ。
「な、何言ってんの堺くん。からかわないでよ」
「本当だって」
触れ合っていた小指から少しずつ他の指も触れて行く。手を見る端に私を見ない堺くんの目を見ればそれは真面目だった。
「そんで、今、また好きになった」
手が重なり合って指が絡み合う。私の指と彼の指。恋人繋ぎとかそういうんじゃなくて彼の手が私の手の上に重なって指の隙間に絡めてる。私は黙ったまま手を見つめた。
「だから、…どうだ?」
どうだ?って何がだ。と顔を上げるといつの間にか距離が縮まっていて、数十センチ。近い、近いと胸が煩い。そしてさっきまで私を見ていなかった視線が私に向いている。酔って潤んだ瞳に私が映っていて、私を見ているのだとわかる。私の瞳にも彼が映っているのだろうか。視線が離せない。このままじゃ胸が持たない。でも時間が止まっているような気がして動け、とぎゅっと絡まる手に力を込めた。彼の口が動いた。あ、時がまた経ち始めて安堵したと思うと同時に声が耳に入る。
「苦労かけるけど幸せにする」
お返しと言うように握り返された。私はいま告白されたのだろう。だから私の頭は混乱していてきっと情けない顔をしているんだ。どうしよう。どうしよう。どうしよう。
「手…握ったままでいて下さい」
数年経ってもまだ言えないなんてね。彼は笑って握り直した。
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27歳位のイメージ
堺さんは手フェチっぽいなと勝手な事考えてます