GK夢
□手を握ってて下さい
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「久しぶりー元気だった?」
「神崎久しぶり!なんか大人の女って感じじゃん」
「もう30近いからね、いい人いないかな」
彼氏いないの?ご愁傷様なんて冷やかされる。そんな今日は高校の同窓会。昔の懐かしい顔が集まった。可愛いかった子は綺麗になって、子供がいる子もいたり、太っていた子が驚く程痩せていたり皆もこの10年くらいで随分と変わっていた。仲のよかった友達は当日、あんなに彼氏いらないと言っていたのに同窓会中盤になって彼氏が居る者同士集まって愚痴を零す輪の中にいる。愚痴を零すくらいなら別れてしまえと思うけれどきっと彼女達の答えはなんだかんだ好きだからと答えるのだろう。先が手に取るように見えた。
そして私は彼氏がいない訳で一人悲しくおつまみを摘んだりしている。私はちらっと男子の方を見た。そういえば彼は来てるのだろうか。忙しい彼のはずだ。来ていないかも知れない。少し期待していた分だけあってどう見渡してもいないので肩を落とした。すると肩に手をかけられた。
「隣座っていいか?」
「あ、うん」
振り向けば探していた彼で心臓が飛び出るかと思う程驚いた。何で彼が私に話かけて来るのだろう。
「神崎さんだよな」
すぐ隣に彼の顔、何だかドキドキしてきた。さっき驚いたのが続いているのだと思いたい。私はそうだよ、覚えててくれたんだねと当たり障りない返答をする。そうすれば当たり前だとか印象に残ってるとか昔の話をした後近頃についての話になった。
「…今何やってんの」
「広告代理店で働いてる。堺くんは、調子どう?…観る限りだと最近調子良いみたいだけど」
「あー…うんチームとしてはまだまだだけどな。つか観てくれてんだ」
「一応サッカー好きの端くれですから。堺くんのサッカーも好きだし」
なんて言えばお酒が入っているのせいもあるのか赤くなっていた。私は昔と違って随分言葉が巧みになったなぁと自分の事ながらしみじみ思った。暫くの間そうした事を話したりお酒を注ぎあったりして楽しく会話を繰り広げていた。高校の時もこれくらい話せていたらもっと楽しかったろうにと少し後悔した。
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