GK夢

□大好きな大好きな兄へ
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寒い寒い。冬は寒い。当たり前。この季節になると朝は布団が恋人で、離れたくない。けれど、時間は待ってくれない。刻々と登校しなければならない時間に近付く。それでもあと5分と布団を頭から被るとゆさゆさと身体を揺すられる。

「ほら、諦めて起きろ」

「んー…っ」

優しい声で私を起こすのは六つ離れた兄である聡くん。今年25歳になるプロのサッカー選手。
毎朝起きられない私を部屋まで来て起こしてくれる。本当は大好きな聡くんの足音が聞こえたり、布団の上から手が触れた時にはもう笑顔で起きられる。でも、でも、沢山構って欲しくてわざと起きない。

「ほーら」

上から被った布団を引きはがされる。同時に寒くなって身を丸くする。


「亜樹ー俺もう出なきゃ行けねえんだよ。だからほら起きた!」

そう言って私を抱え上げて無理矢理起こした。私はパチッと目を開けて聡くんの顔を見る。


「この野郎、起きてたな?」

「おはよう!」

抱き抱えられた事をいいことに最近中々触れ合っていないのを思い出して自分からも首に抱き着いた。

「そろそろ大人になんだから…ブラコンは彼氏出来ないぞ」


顔は見ていないけれど絶対呆れている。ブラコンなのは知ってる。けれど、優しくてかっこよくて、サッカー選手なんて自慢出来る兄を好きにならないなんて逆におかしい。劣等感なんてものも無いし、寧ろ


「聡くんが彼氏になれば良いよ」

「ばーか。兄弟」


そう言ってるけど抱えたままで頭を優しく撫でてくれる分、愛されてる。せめていつか私に聡くん以上に大切な人が出来るまでは、甘えさせて欲しい。




大好きな大好きな兄へ
(ずっと甘えさせて下さい)




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ほんのりどろどろとした近親の恋愛を出したかった。伝わるといいな。
 

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