GK夢

□空を掴む
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自分自身を求められること以上に嬉しい事はない。それも特に好きな相手には。
でも、求めた相手が必ずしも欲しい答えを返してくれないのが現実だ。

現に俺は今、その状況なのだから。



手を伸ばせば触れられる。抱きしめる事が出来る!なのに隣にいる限りなく愛しい彼女に対して行動出来ないのは、彼女が他の男のものだから。ましてや同期である堺の彼女なのだ。手をだしてしまえば今まで築き上げてきた友情を失ってしまう。だから今俺が考えられるのは、何故彼女は俺を選んでくれなかったのか。何故堺に惚れたのか。

考えなくてもわかってた。俺は自分の気持ちばかり押し付けて、好きだ好きだと言うだけで相手の気持ちを気にしなかった。笑っていたから嫌じゃないと思って、それが俺には自分と同じ気持ちなんだと勝手に解釈していた。それが彼女の中では友達止まりだったのだと思う。それに比べて堺は何も言わなかった。ただ、彼女の前では優しい顔でいた。普段の堺のぴりぴりした緊張感のある顔ではなく本当に珍しい特別な奴にしか見せない表情。きっと彼女もそれを分かったのだろう、彼女の表情も特別になっていたから。

押し付ける愛情と包み込む愛情とでは分かり難さはあるが後者の方が彼女の場合受け入れ易かったんだ。子供じゃないんだ。大人ならあの二人を見て考えたらわかる事だった。そこからどうにか彼女への接し方も変えて振り向かせようとできたはずだ。それでも、変えられなかった。何でって?そりゃ俺の愛を愛で返して欲しかったさ。だけどそれ以上に彼女の俺を優しい面白い友達という目が好きだった。堺の彼女を好きだと言う目を好きになってしまった。二人の作る空気が好きになってしまってたんだ。

気付いた時には遅かった。彼女が好き、二人が好き。彼女から愛を返して欲しい、俺にじゃなくて堺に向かって欲しい。正反対の俺の欲しい事は、やっぱり一つしか叶わない。


俺の伸ばした手は空を掴んだ。




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堺さんと丹さんの友情に悶える
すんません、この小説それを書きたかっただけっす

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