GK夢

□手を握ってて下さい
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恋に落ちたのは最近見ない優しさだったから。
単純な私は心をぎゅっと掴まれていた。



彼の存在を私の中で知ったのは文化祭。彼は学級委員でよく働いてくれた。他の男の子は自分から動こうとはせずに指示を待つだけだったのに、彼は手伝うよとか身長の高い彼は活躍してくれていた。それまではもう一人の学級委員である友達の相方とでしか認識していなかったけれど、その日から目で追う様になっていた。

それに気付いたのはもっと後だったけれど。


気付いたら気持ちが零れそうになる。見ていて気付いた爽やかな笑顔とか、しっかりしてそうなのに抜けてる所とか、セーターの襟元が少し緩くなってるとか…全部が好きで、近すぎると何も言えなくなる。話し掛けたいのに何も出来なくなって、胸が苦しい。


でもね、最近気付いたよ。彼が私達の話に聞き耳を起ててるの。私はわざと彼の近くでサッカーの話をする。彼が好きなサッカーの話、たまに話し掛けてくれるからそれをいつも待ってるんだ。だから友達と話してる時、彼を見てる。教科書を片付ける手がゆっくりになってるの、見えてる。それが可愛いくて、話し掛けたい。でもやっぱり話し掛けられない。どんなに気持ちが高まっても私は言えないの。


いつになったら私は彼に伝えられるだろう。


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