氷帝夢

□初恋は残酷に
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幼稚舎二年の時小さいのに大きく飛ぶ彼に恋をした。
彼、岳人は私より身長が低くて可愛い。
私は彼に思いを抱いてからきちんと話せることがなくなった。
話す時もクールに振舞ってしまって素直になれない。
クラス替えの時ドキドキしながら掲示板を見た。
今年も同じクラスになれるかな。
神様は優しかった。
六年間同じクラスでいられた。
秘かに一人で喜んでいた。
大好きな彼のことを毎日見ていられる。
楽しかった。
でも、思いを告げられないまま卒業の日を迎えてしまった。
アドレス帳には「向日岳人」の文字。
せっかく友達に教えてもらって手に入れたアドレスで、メールでは素直に話せて想いを募らせるばかりで伝えられない。
「好き」そう書いて送信を送れば伝わるのに私には勇気がないからひっそり悲しみながらその日を終えた。


幼稚舎を卒業して数日が経った日

「好きだ」

そう彼に言われて嬉しかった。
それは初恋だっから。
初恋はかなわない、そうみんなは言っていたけれど私は四年越しの思いがかなうことがれ来たんだ。
だけど、彼とは同じ中学校に進学しない。
私は違う中学校に進む。
でもそこまで離れた距離でもないから付き合っていけると思った。
そのまま中学校に進学して会えない間メールで思いを伝えあって毎日が甘酸っぱかった。
彼からくるメールは全部保護をかけて消えないように大切にしていた。

入学してから二週間たった日だったろうか、彼から信じたくないメールが届いた。


「ごめんな。別れよう」


そう本文に書かれていた。
理由は思春期の今頃彼女がいるということで友達に冷やかされていたのだろう。
それに私は小学校のころ児童会などで目立っていたのだからますます冷やかされていたのではないか。
そのせいで辛くなったのだろう、彼は疲れたんだ。
私は信じたくなかったけど好きな彼を困らせたくなかったから私はそのまま別れた。
でも、

「このまま、あなたのことを好きで居させてね」

そう返したら

「ありがとうな」


そう言ってくれた。
そして私たちは友達に戻った。
いや、また私の片想いが始まったんだ。

片想いに戻ってからも頻繁にメールはしていた。
でも諦めなくちゃいけない。
どうしても諦めたかった。
じゃないと私の心が壊れてしまうと私は彼に募らせた思いをかき消す為に夢中になるものを見つけた。
夢中になって彼のことを考えないように必死に…。

一か月経ち大分心にできた大きな空白は気にならなくなった。
彼とメールをしても心が痛むことはなくなった。

やっと、本当の友達に戻ることが出来た。
そう思った。
だけど


「やっぱり、お前が好きなんだ。もう一度付き合って」


せっかく諦められたのに、もう遅すぎる。
やっと普通の友達になれたのに、好きだなんて残酷な言葉


「遅すぎたんだよ、もう。ごめんね」


そう打って、送信ボタンを押した。
その時震えた指が私の心を表に出している様で反対の手で覆って隠した。


恋愛に置いて擦れ違いがいかに悲しく残酷な結果を生み出すかなんて私は知らなかった。
私自身ずっと彼を好きで入れる自信があったのに諦められることができたんだ。
所詮それくらいの程度に彼が好きだったんだ。
…私は彼をきちんと諦められていたと思う。


なのに、震える心を隠したのは何故?




初恋は残酷に
(すれ違わなければ、私が彼を好きで居たならどうなっていたのだろう)




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