氷帝夢
□花火
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湿っぽい梅雨が明けて今日は今年初の夏祭り。
小学校の頃仲良かった日吉を誘った。
私は中学に上がる時に近くの公立中学校に入学した。
理由は家計の問題で父と母が離婚してしまったからだ。
そんなこんなで私は日吉と離れたんだ。
でも日吉とは文通を続けていて色々相談とかもした。
携帯を買えば日吉の家に電話をして1番にアドレスと番号を聞いた。
正直私は日吉が大好きだった。
強がって意気がって、でも照れ屋で負けず嫌いで、冷静を装ってても本当は反対に情が厚い、…優しくてカッコイイんだ。
そして今日久しぶりに会える。
お気に入りの服装にお気に入りの靴、髪をアップにして家を出る。
夕方駅に着く日吉を迎えに行った。
日吉はどうなっているのだろう。
顔がにやけてしまうのを抑えるのに必死だった。
「日吉!」
改札口から出て来た日吉を見て直ぐさま駆け寄った。
「よう、久しぶりだな」
相変わらず変わらないの声で私を呼ぶのは愛しい君。
「なんか凄い身長伸びたね」
たった一年、されど一年と言うのか身長があの頃より随分と伸びて、あの頃の幼かった顔立ちは殆どなくて凄くおとなびている。
「鳳の奴はもっと伸びたぜ」
「嘘だー信じられないよ」
少しだけ悔しそうに笑いながら言う言葉に疑いをかける。
だって鳳は私と全然変わらないくらいで卒業したのだから。
「今度来いよ、そうしたらわかる」
口元だけを上げてニヤリと効果音がありそうな笑顔をみる。
「わかった、…じゃそろそろ行こっか」
「あぁ」
隣り合って歩く距離は手と手が当たりそうな程近いのに何だか日吉が遠くにいるような気がする。
やっとこんなに近くにいるのに気持ちが遠いい、そんな感じが胸に残った。
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