南受け

□優しい嘘
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俺が見つけた時、南は虫息きじゃった。



仁王「しっかりしんしゃい、南!」
南「だ、れ……?」
仁王「立海大の仁王じゃ!
待っとれ、今手当てをしたるから!」
南「もう…いい……」



南はそう焦点の合わない目で俺を見た。

まさか、コイツ…



仁王「目が、見えないんか?」
南「あぁ…
だか、ら…もぅ、い、いんだ…。せん、ごくに会い、たかっ、たけど…」



途切れ途切れに喋る南。もう限界に近いじゃろ。

なぁ、お前さん。

俺が誰か忘れとるぜよ?



仁王「…ねぇ、南。
俺も君に会いたかったよ?」
南「…せん、ごく?」
仁王「他に誰がいるのさ?
南はよく頑張ったからもう眠っていいよ。」
南「あり、がと、う…
いき、てくれ、せん、ご‥く……」



俺の腕の中で安心したように南は逝った。

すまんのぅ、南。

俺にはこんな事しかできなくて。

俺は生きるぜよ。

千石にお前さんの最後の言葉を伝えるために…



























詐欺は汚いだけじゃない。


こんな綺麗で優しい詐欺だってあるぜよ?



end


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